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【社説】

北朝鮮の核開発 暴発阻止へ米中協調を

 物足りない結果に終わった初顔合わせだった。北朝鮮の核・ミサイル問題が主要議題になった米中首脳会談。北朝鮮の暴走を食い止めるには協調が欠かせないことを両首脳は理解してほしい。

 ティラーソン米国務長官によると、両首脳は北朝鮮の核開発をめぐってあらゆる対応策を論議し、核開発が「深刻な段階に達した」との認識を共有した。

 ただし、トランプ大統領は中国側の協力が得られない場合は、米国が独自に対応する意向を習近平国家主席に伝えた。

 一方、王毅・中国外相が自国メディアに明らかにしたところによると、習氏は米朝双方が自制するよう求め、在韓米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備に反対する姿勢をあらためて示した。

 米国による武力行使まで幅広く意見を戦わせたものの平行線に終わり、具体的な合意には達しなかったようだ。普通行われる会談後の共同記者会見や共同声明の発表もなかったことが、立場の違いの大きさを物語っていよう。

 会談に影を落としたのは、米国のシリア攻撃だ。

 米側によると、夕食会の終了間際にトランプ氏から攻撃を知らされた習氏は「理解」を示したというが、リップサービスだろう。シリア攻撃は、北朝鮮問題で中国に積極的な行動を迫る脅しでもあることを悟ったはずだからだ。

 ティラーソン氏はシリア攻撃を引き合いに「国際合意に違反し他国の脅威になるなら、対抗措置を受けるというメッセージだ」と述べ、北朝鮮への警告でもあったことを明らかにした。これは口先だけではあるまい。

 国際合意も、確たる外交戦略もないまま、いわば即興的に武力行使を強行する−。トランプ政権にはそんな危うさがあることを国際社会に知らしめたのが、シリア攻撃だ。

 このままでは北朝鮮への「独自対応」は現実味を帯びてくる。

 そうなれば日本や韓国が北朝鮮の武力攻撃にさらされ、大きな被害を受けることが懸念される。

 中国が米国にも自制を求めたのは当然だ。だが、挑発を繰り返す北朝鮮は中国の足元を見透かしている。核開発に歯止めをかける実効性のある措置を中国に求めたい。

 大国の米中は国際秩序の安定に重い責任を持つ。国益にばかりとらわれず、地球規模の課題に至るまで協力する姿勢を両国はみせてほしい。

 

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