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【社説】

米朝緊張と日本 非軍事的解決の道探れ

 トランプ米政権が北朝鮮への軍事的圧力を強めている。単独攻撃も辞さない構えだが、もし攻撃に踏み切れば、韓国や日本も無傷ではいられまい。あくまでも非軍事的解決の道を探るべきである。

 化学兵器の拡散阻止を理由としたシリア攻撃に続く「力の誇示」なのだろう。トランプ政権が米海軍の原子力空母「カール・ビンソン」を朝鮮半島近海に向かわせた。三月下旬に行った海上自衛隊護衛艦との共同訓練を再び実施する方向で調整しているという。

 核実験や弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮は、今月十五日に故金日成主席生誕百五年、二十五日には朝鮮人民軍創建八十五年を迎える。米国の空母急派には、こうした節目に再び軍事的な挑発行動に出ないよう、金正恩朝鮮労働党委員長に圧力をかけるとともに、中国に、より積極的な関与を促す狙いがあるのだろう。

 核兵器や弾道ミサイルの開発を進める北朝鮮が、東アジアの不安定要因となっている現実は否定のしようがない。日本人拉致などの人権問題も未解決だ。

 国連決議や二〇〇二年の日朝平壌宣言に反する核、ミサイル開発を放棄するよう、関係各国が連携して北朝鮮に対する圧力を強める必要性は否定しない。

 しかし、米国の軍事的対応だけが唯一の解決策ではないはずだ。

 トランプ大統領は安倍晋三首相との電話会談で「すべての選択肢がテーブルにある」と表明。四月上旬の日米高官協議で米側は、中国の対応次第で北朝鮮への軍事攻撃に踏み切る可能性に言及した。空母急派もこの流れにある。

 北朝鮮外務省はこれを「無謀な侵略策動」と非難し、米軍の軍事行動があれば「喜んで対応する」などと激しく反発している。

 米軍が軍事的圧力を強めれば、北朝鮮の暴発や報復攻撃で韓国に加え、在日米軍基地が多く所在する日本も深刻な被害は免れまい。

 今、最も必要なことは地域の軍事的緊張を緩和することだ。

 北朝鮮に核、ミサイル開発を放棄させるために関係国は非軍事的解決の道を追求すべきだ。今は休眠状態にある米朝に日韓中ロを加えた六カ国協議の枠組みを活用することが現実的だろう。

 首相はトランプ大統領だけでなく、ロシアのプーチン大統領とも良好な関係を築いてきた。首相が非軍事的解決を呼び掛ける先頭に立つのなら、首相の「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」にも価値を見いだすことができる。

 

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