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【社説】

大阪万博誘致 カジノでいのち輝くか

 政府が二〇二五年国際博覧会(万博)の大阪誘致を決定した。開催地を決める来年秋に向け、誘致活動が本格化する。「オールジャパンで」というなら、開催への幅広い国民の理解が欠かせない。

 経済産業省がまとめた万博検討会の報告書によると、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとし、心身ともに健康な生き方や持続可能な社会・経済システムを考える博覧会を目指す。会場予定地は大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)。人工知能や仮想現実などの最新技術を駆使して「常識を超えた万博」を実現する、としている。

 パリの博覧会国際事務局(BIE)に二十四日にも立候補を届け出る。開催地は、一八年秋のBIE総会で加盟国の投票によって決まる。二五年万博には、すでにパリを主会場とするフランスが名乗りを上げており、ロシアにも立候補に向けた動きがある。

 今回の大阪万博構想は、大阪府の松井一郎知事と大阪市の橋下徹前市長が一四年に打ち出した。いわば、大阪都構想の是非を問う翌年の住民投票をにらんだ大阪維新の会の政策が出発点である。

 これまでの国内開催では、「人類の進歩と調和」の一九七〇年大阪万博や「自然の叡智(えいち)」の〇五年愛知万博が時代を先取りするテーマを掲げ、確かな遺産を残した。

 大阪府・市は、まちづくりの核として二度目の万博を狙い、大阪側が温めてきた構想に乗った政府も、二〇年東京五輪に続く経済成長の起爆剤と見込む。しかし、実現に向けた課題は多い。

 政府は来場者を三千万人と見込み、経済効果を一兆九千億円とはじくが、多額の開催費用は問題なく調達できるか。計画では千二百五十億円とされる会場建設費は国、大阪府・市、民間が三分の一ずつ負担することになっているが、地元経済界には「難しい」という消極的意見が少なくない。

 府と市が、同じ夢洲にカジノを含むIR(統合型リゾート)を誘致する青写真を描いていることも気掛かりだ。「心身ともに健康な生き方」を掲げる万博を、ギャンブル依存症の懸念が拭えぬカジノと同時並行で誘致することに国民の理解は得られるのか。

 改憲勢力である維新の会の協力を期待して首相官邸が大阪誘致にかじを切った、との見方もされる万博構想である。政府がいうように「オールジャパンの態勢で必勝を期す」には、開催の理念や意義をもっと丁寧に説明し、広く国民の理解を求める必要がある。

 

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