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【社説】

松戸女児殺害 子どもの安全守るには

 千葉県の女児殺害事件は意外な展開を見せた。子どもを見守る立場にある人物が容疑者だったとは言葉を失う。地域住民の信頼関係さえ壊れかねない。全容解明を尽くし、教訓を学ばねばならない。

 三月二十六日朝、同県我孫子市の排水路脇で、同県松戸市の小学三年レェ・ティ・ニャット・リンさん(9つ)の遺体が見つかった。その二日前、小学校の修了式に向かうため、自宅を出た直後に行方不明になっていた。

 死体遺棄の疑いで逮捕された自称不動産賃貸業の男(46)は、リンさんの家の近くに住み、同じ学校に通う子どもを持つ父親だった。

 保護者会の会長を務め、通学路で子どもの見守り活動に精を出していたという。

 親たちの信任は厚かったらしく、地域にとってはあまりに衝撃的な結末といえる。

 地元の防犯協会の会長は「悲しいことだが、誰でも疑って、自分たちの地域や子どもは自分たちで守るしかない」と語っている。やりきれない思いは、全国の親たちに共通するのではないか。

 警察の調べに対し、容疑者は黙秘しているという。

 遺体の首には絞められたような痕跡が残っていた。窒息死した可能性が高い。今のところ、警察は単独犯とみている。殺人容疑を視野に入れた捜査になるだろう。

 予断を許すことなく、客観証拠を積み上げて、犯行の経緯や動機を徹底的に解明してほしい。

 リンさん一家はベトナム国籍で二〇一五年十二月に川崎市から引っ越してきた。近年、松戸市で暮らすベトナム人は増えている。

 ツアーガイドになり、日本の友だちにベトナムを紹介することがリンさんの夢だったという。容疑者の逮捕を知らされたリンさんの母親は「これまで日本人は良い人だと思っていたが、そう思えなくなった」と話していると聞く。

 今度の犯行は、前途ある幼い命を奪ったばかりではない。地域の絆を傷つけ、日本の信用さえおとしめる結果を招いた。極めて悪質で罪深い。

 登下校中の子どもをさらう犯罪は後を絶たない。子どもを一人きりにしないことが肝要である。ただ、集団登下校は、道路事情によっては交通事故に遭う危険性が高まるとの声もあり、注意を要する。

 見守り活動に悪意のある人物が入り込んでいるかどうかは見抜きにくい。悔しいけれども、人目を増やすしかあるまい。社会ぐるみで安全策を見直す契機としたい。

 

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