東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

パワハラ防止 法定化を急ぐべきだ

 政府がまとめた「働き方改革実行計画」を受け、厚生労働省は職場のパワーハラスメント(パワハラ)防止対策の強化に向けた有識者会議での議論を始める。働く人の心身を守る対策は急ぐべきだ。

 佐川急便の仙台市の事業所に勤務していた男性社員=当時(22)=が自殺したのは上司のパワハラでうつ病になったのが原因だとして遺族が、労災と認めなかった労働基準監督署の決定を取り消すよう国に求めた訴訟の判決で、仙台地裁は昨秋、自殺は労災だと認定した。

 判決理由などによると、男性社員は上司から足元に向けてエアガンを撃たれたり、つばを吐きかけられたりした。退職を申し出たが、引き続き仕事を要求された。二〇一一年の年末にうつ病と診断され、その数日後に自殺した。エアガンで撃つなどはパワハラを超え、暴力に等しい。

 厚労省によると、パワハラとは同じ職場で働く人に対し、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為という。

 同省のパンフレットでは、主に(1)殴る蹴るなどの身体的な攻撃(2)必要以上に長時間、繰り返し執拗(しつよう)に叱るなどの精神的な攻撃(3)業務上の過大な要求(4)過小な要求(5)一人だけ別室に席を移す、送別会に出席させないなど「人間関係からの切り離し」(6)交際相手について執拗に問うなどの「個の侵害」−がパワハラに相当する。

 企業で働く一万人を調べた結果、三人に一人が過去三年間に職場でパワハラを受けたと回答していたことが厚労省の調査で明らかになった。憂慮すべき数字だ。

 調査によると一回でもパワハラを受けた人は六割超が「怒りや不満を感じた」「仕事への意欲が減退した」と答えた。何度も受けた人に限ると「眠れなくなった」が四割近く、「通院したり、服薬をした」が二割超に上った。

 セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)や妊娠や出産を理由とする嫌がらせ、マタニティーハラスメントは男女雇用機会均等法などで定義され、事業主は防止するための体制整備が義務付けられている。

 しかし、パワハラについては法律上の規定はない。このため労働基準監督署や裁判所で認定されにくいという。パワハラに関しても定義や対策義務づけを法定化することは待ったなしだ。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】

PR情報