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【社説】

加計学園問題 首相は自ら真相を語れ

 安倍晋三首相に近い人物が経営する私立大学の学部新設に首相の意向が働いていたとしたら、権力乱用との批判は免れまい。首相は自らの関与の有無について、進んで真相を明らかにすべきである。

 李下(りか)に冠を正さず、という言葉は死語になってしまったようだ。学校法人「加計学園」(岡山市)系列大学の獣医学部を愛媛県今治市に新設する計画である。

 市と県が二〇〇七年から一四年まで、十五回にわたって申請しながら認められなかった獣医学部の新設が、なぜ安倍政権の下で一転、五十二年ぶりに、それも今治市で認められることになったのか。そこに安倍首相の意向は働いていなかったのか。不可解なことがあまりにも多い。

 きのう明らかになった文部科学省が作成したとされる文書には、内閣府から「官邸の最高レベルが言っていること」「総理の意向だと聞いている」などと言われた、との内容が記載されていた。

 菅義偉官房長官は記者会見で文書の内容を全面否定し「首相からも一切指示はない」と強調した。

 しかし、にわかには信じ難い。

 というのも、首相と、同法人の加計孝太郎理事長とは極めて近しい関係にあるからだ。本紙報道によれば、一二年の第二次安倍内閣発足以降、首相は加計氏と十三回にわたって会い、ゴルフを四回、夕食を九回ともにしている。

 首相自身、加計氏のことを「どんな時も心の奥でつながっている友人」「まさに腹心の友だ」と語ったことがある。

 首相が国会で答弁したように、本当に「加計学園から私に相談があったことや、圧力が働いたことは一切ない」のだろうか。単に否定するだけでなく、国民に説得力のある説明をすべきである。

 文書の有無や真偽にかかわらず自らに近しい人物に対して、便宜を供与したように疑われる行為は厳に慎むのが、権力者としてあるべき振る舞いだろう。

 首相自らは仮に直接関与していなかったとしても、官僚組織に首相の意向を忖度(そんたく)させるようなことも、あってはならない。

 安倍首相夫妻は学校法人「森友学園」への格安での国有地売却をめぐっても、政治的関与の可能性が指摘されてきたが、与党側は昭恵氏の国会への招致を拒み、真相を闇に葬り去ろうとしている。

 権力の側にある人間は何をやっても許される、と考えているのだろうか。だとしたら、思い違いも甚だしい。

 

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