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【社説】

加計学園問題 国民に真実を知らせよ

 学校法人加計学園の獣医学部新設には、安倍晋三首相の意向が働いたのか。文部科学省の前川喜平前次官はそう記載された文書の存在を認めた。政府と国会は、国民に真実を知らせねばならない。

 加計学園の理事長は、安倍首相の友人が務めている。その系列大学の獣医学部を国家戦略特区に新設する計画に絡み、「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向」などと記された文書の存在が明るみに出た。

 先日、前川氏は記者会見し、内閣府から文科省に伝えられたことを示すその記録文書について「確実に存在していた」と証言した。

 昨年九月から十月にかけて、獣医学部新設を担当する文科省専門教育課から受け取り、幹部間で共有したと説明した。「あったものをなかったことにはできない」と述べ、文書の信ぴょう性をかたくなに否定する政権を批判した。

 「公平、公正であるべき行政の在り方がゆがめられたと認識している」とさえ語っている。

 国家戦略特区制度を隠れみのにして、加計学園への利益誘導を強いられた。言外にそうした重大な疑義を差しはさんだ形である。

 当時の事務方トップの身を賭しての実名証言は極めて重く、文書の存在は裏づけられた。前川氏は、国会での証人喚問の機会があれば応じるという。国民の疑問に対して、政府と国会は事実をつまびらかにする責務がある。

 二年前に閣議決定された日本再興戦略では、生命科学などの新分野の獣医師が求められ、既存の獣医学部では間に合わない場合に限り、獣医師の需要の動きを考えて新設を検討するとなっていた。

 にもかかわらず、どんな獣医師がどの程度必要なのか見通しすら示されないまま、加計学園を前提とした「暗黙の共通理解」のもとで物事が運んだという。前川氏はそうした経緯を証言している。

 天下りあっせん問題の責任を取り、辞職した前川氏について、菅義偉官房長官は「地位に恋々としがみついていた」と攻撃し、記録文書を「怪文書」扱いしている。卑劣なレッテル貼りによる問題のすり替えというほかない。

 松野博一文科相は、職員七人への聞き取りとパソコンの共有フォルダーの調査だけで文書の存在を否定した。再調査を拒み、明らかに幕引きを図ろうとしている。

 森友学園問題に続き、真相を隠ぺいしようとするような政権の姿勢は、国民感覚から懸け離れ、政治不信を深めるばかりである。

 

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