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【社説】

横浜市長選 カジノはやはり封印を

 “ハマ”にカジノは似合わない。やはり封印すべきだ。横浜市長選で三選を果たした林文子氏には、まずもってそのことを注文しておきたい。せっかくの横浜の歴史と文化も台無しになるだろう。

 自民、公明両党が推薦する現職に、元旧民主党衆院議員と元民進党横浜市議の二人が挑み、三つどもえの戦いとなった。三百七十万人余りが暮らす最大の基礎自治体が抱える課題は多岐にわたる。

 中でも、カジノをふくめた統合型リゾート(IR)施設の誘致の是非は、重大な争点になると期待された。かねて意欲を示してきた林氏に対し、新人二人は反対の姿勢を鮮明にしていた。

 だが、結果として、市民は肩透かしを食った。今年に入り、とりわけ選挙が近づくにつれ、林氏は慎重な振る舞いに転じたからだ。

 IR誘致による税収と経済への効果を説き、地元に不可欠と唱えていたのに、最近は「白紙」にまで後退した。ギャンブル依存症といったカジノの負の側面を気遣う態度が目立つようになった。

 けれども、本当に立場を変えたのか。賛否が大きく割れる課題から関心をそらす方便だったのではないか。「導入検討」と公約集ではうたっている。多くの市民は疑心暗鬼に陥っているだろう。

 安倍内閣の支持率が下落する中での大型地方選となった。政権与党としては、東京都議選、仙台市長選と続いた連敗に歯止めをかけたかったに違いない。ましてや菅義偉官房長官の地盤でもある。

 振り返れば、カジノを解禁するIR整備推進法も、昨年十二月に国会会期を再延長してまで強引に成立させた経緯がある。その直後の共同通信の世論調査では、カジノ解禁に約七割が反対だった。

 森友学園、加計学園をめぐる問題や、「共謀罪」法の成立強行といったこれまでの「安倍一強」の居丈高な構えが、市民の怒りを増幅させている。反対の声が根強いIR誘致を掲げては危ういと、林氏も読み解いたのではないか。

 くぎを強く刺しておきたい。カジノ解禁の是非を真正面から問わなかった以上、再び積極姿勢に戻るのは信義にもとる。国際交流や観光振興の方策は、カジノ抜きで検討を進めるのが筋だ。

 与野党は依存症対策法案をそれぞれ国会に出しているが、賭博が生み出しうる問題領域は広い。犯罪の増加、青少年への悪影響、反社会的勢力の介入など懸念される弊害は枚挙にいとまがない。政治は国民を甘く見てはならない。

 

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