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【社説】

日印原子力協定 核開発に厳しい縛りを

 日本とインドの原子力協定が発効した。核兵器を持つインドに、日本が原発を輸出し関連技術を移転できるようになる。唯一の被爆国が取り組むべき核政策は、また矛盾を抱え込んだ。

 インドは核拡散防止条約(NPT)に加盟せず、核ミサイルを保有する。経済成長が続き、電力増産が緊急の課題だ。米国やフランスなどはインドを例外扱いにして、既に原子力協定を結んでいる。

 原発メーカーは国際協力が進み、日印協定によって、米仏などの企業が日本製の資材、機材を調達できるようになる。

 日印協定では、協力分野を原子力の平和目的に限定した。インドが一九九八年以来凍結している核実験を再開した場合は、日本は協力を停止すると、協定とは別の文書で確認している。問題は、インドが核爆発を伴わない「臨界前実験」を実施した場合の対応が明文化されていないことだ。

 また、日本は二国間の原子力協定で初めて、インドに対し核燃料の濃縮と再処理を認めた。再処理で抽出されるプルトニウムは国際原子力機関(IAEA)の査察対象であり、軍事には転用されないという判断だ。だが、インドはやはりNPT未加盟で核を保有するパキスタンとの緊張が続く。中国とは国境をめぐる争いがある。

 日本は核を持つインドに対する原発輸出の道を開いた。国連で七月、核兵器禁止条約が採択されたが、政府は署名しない方針だ。米ロ中など核保有国が参加しない条約には実効性がないというが、被爆国として核廃絶をリードすべき日本の最近の対応は、矛盾に満ちていると言わざるを得ない。

 日印協定は発効したが、日本側はインドの核開発に厳しい縛りをかけなくてはならない。包括的核実験禁止条約(CTBT)や放射性廃棄物等安全条約の締結などを促す必要がある。

 安倍政権が協定を締結した大きな目的は、成長市場のインドを弾みにして、原子力事業の海外展開を進めることだ。しかし、原発輸出にはむしろ事業リスクが増している。

 福島第一原発の事故後、原発の安全性を高めるため建設コストが上昇した。

 原子炉メーカーの東芝が、業績不振で海外事業から撤退することも、政府には大きな誤算になった。

 インドは太陽光や風力発電の拡大にも積極的だという。日本側は原子力より、再生可能エネルギー技術の提供を考えたい。

 

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