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【社説】

新・国税庁長官 納税者に沈黙のままか

 森友学園への国有地売却問題を国会で追及されながら徹底調査を拒み続け、国税庁長官に昇任した佐川宣寿・前財務省理財局長。就任から一カ月になるが慣例の就任会見まで拒否し続けるのか。

 「我々に与えられた使命を着実に果たしていくためには、何よりも国民の皆さまに信頼される組織であることが不可欠」

 「納税者に法令の順守を求めるわけですので高い倫理観を持って綱紀の厳正な保持に努め、基本を忠実に守って職務に専念しなければならないと考えている」

 これは佐川氏が大阪国税局長に就任した際、抱負を聞かれて答えたものだ。四年前のことである。

 国民、納税者に信頼されるよう高い倫理観を持って職務に専念する−今も胸を張って、答えることができるか。就任会見を開かないのは、後ろめたさがあるからではないかと思わざるを得ない。

 佐川氏はこのほか国税庁次長も経験しており、国税庁長官就任は「適材適所に沿う」と麻生太郎財務相らは説明する。しかし、そんな政権本位の説明に納得する国民がどれだけいるだろうか。

 佐川氏は、国民の貴重な財産である国有地を管理する要職にあった。しかし、九割引きという信じられない価格で売却された経緯についての追及に対し、連日、木で鼻をくくるような答弁に終始。野党の国会議員はもとより多くの国民の不信を買った。

 だが、安倍政権にとっては盾となる答弁だったことは確かだ。佐川氏の栄転は「論功行賞」との見方が強い。反対に同問題で真摯(しんし)に答弁した別の官僚が、内定していた昇進を取り消される異例の人事もあった。

 これは内閣人事局ができ、中央省庁の幹部人事を官邸主導で決めることになった弊害である。官僚にとってはまるで恐怖政治だ。

 内閣人事局の本来の狙いは、省益に走りがちな官僚を国民への奉仕者に徹するようにするものだった。安倍政権のやり方では官僚は政権だけの奉仕者となり、行政を歪(ゆが)め、国益を損ねる。福田康夫元首相が「国家の破滅に近づいている」と政権を批判した通りである。

 こうした強権的な手法や政権の体質が昨今の支持率の急低下につながっていることを自覚すべきだ。政権にとって自業自得だが、それですむ問題ではない。

 歪んだ人事をやり直し、公正公平な行政に戻らなければ、国民の信頼回復などあり得ない。

 

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