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【社説】

PKO日報隠し 白書で触れぬ不誠実

 二〇一七年版防衛白書が閣議に報告された。北朝鮮や中国の動向をめぐる情勢認識はおおむね妥当だが、情報隠しが指摘された陸上自衛隊の日報問題に全く言及がないのは、不誠実でないのか。

 きのう閣議に報告された防衛白書は、日本を取り巻く国際情勢や政府の安全保障政策を説明する、防衛に関する年次報告書である。

 北朝鮮が七月四日に発射した弾道ミサイルを「大陸間弾道ミサイル(ICBM)級」と分析した上で「軍事的挑発行為の増加・重大化につながる可能性もあり、わが国としても強く懸念すべき状況となり得る」と指摘する一方、中国の海洋進出については「地域・国際社会の安全保障環境に与える影響について強く懸念される」と詳述している。

 こうした記述は、日本周辺の国際情勢を表したものとしては理解できる内容だが、白書から完全に欠落しているものがある。南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊部隊が作成した日報に関する記述だ。

 七月二十八日に公表された特別防衛監察結果で防衛省・自衛隊の組織による日報隠しが指摘されたにもかかわらず、この問題については一行も触れられていない。

 確かに、監察結果の公表は、昨年七月から今年六月ごろまでという白書の対象外ではある。編集上の都合も理解できなくはない。

 しかし、稲田朋美防衛相、黒江哲郎事務次官、岡部俊哉陸上幕僚長が引責辞任するという防衛省・自衛隊にとって重大な問題だ。

 そもそも、稲田氏が特別防衛監察を指示したのは今年の三月。国会でもたびたび取り上げられ、議論になった問題でもある。

 防衛省はこれまでの特別防衛監察と同様、来年版で記述することになるとしているが、単に監察結果の公表が対象期間外だからといって、陸自部隊が派遣された現地の情勢悪化や監査の指示、国会質疑などの事実に、今年の白書で全く触れなくていいものだろうか。

 今年の白書は稲田氏の辞任に伴い閣議への報告が一週間先延ばしされ、巻頭言を後継の小野寺五典防衛相のものに差し替えたが、差し替えるべきは日報に関する記述ではなかったか。新しい巻頭言でも、日報隠しに全く言及していないとは不誠実極まりない。

 防衛省・自衛隊に都合の悪いことは書き込まず、忘れ去られるのを待つというのでは、いつまでたっても隠蔽(いんぺい)体質は改まるまい。猛省を促したい。

 

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