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【社説】

概算要求100兆円 まだ青天井続けるのか

 きょう締め切りの来年度予算概算要求は四年連続で百兆円を超す。安倍政権特有の歳出上限を設けない青天井型のためだ。財政健全化目標達成は絶望的で、もう誤魔化(ごまか)しようもないというのに、だ。

 二〇一二年末に発足した現在の安倍政権にとって実質的に五度目の予算編成となるが、これまでと決定的に異なる環境にある。一六年度の税収が七年ぶりに減り、引き続き歳入に陰りがあることだ。

 この政権は、世界最悪の財政事情も顧みず、歳入の半分を借金(赤字国債)に頼りながら大盤振る舞い予算を続けてきた。そのよりどころは日銀による超低金利と税収の増加で、わずかながら赤字国債の新規発行額を減らしてきた。

 しかし、頼みの税収は伸びないのだ。これまで税収増加の要因だった円安は北朝鮮情勢などで円高基調となり、過去の赤字決算で納税を免除された企業が納税に転じる動きも一巡してしまった。

 もはや成長頼み、税収増頼みは通用しない。それは政府が先月発表した財政見通しでも明らかだ。高い成長率を実現できたとしても、国際公約である二〇年度のプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化は不可能で、八・二兆円もの赤字が残るのである。

 首相はこの公約について、いつ白旗を揚げるのか。それとも消費税増税の再先送りした際に用いた「新しい判断」方式で乗り切れるとでも思っているのか。これでは国債の格下げや金利高騰といった非常事態が現実になりかねない。

 予算編成の概算要求はここ数年、同じ方式を繰り返してきた。各省に対し、公共事業など裁量的経費の要求は前年度比10%減とすることを求める。これによって計一・五兆円程度を削減できるが、四兆円の特別枠を設けているため、逆に予算規模は膨らむ。

 今回の特別枠は成長戦略に掲げた「人づくり革命」で、これを冠した事業なら認められるとばかりに各省は要求を膨らませる。当初予算でだめでも補正で復活する無節操が繰り返されてきた。

 概算要求は、シーリング(天井)を設けて歳出を抑え込むのがあるべき姿だ。こんな規律のない青天井をいつまで続けるのか。主要国はより厳しい財政健全化目標を堅持している。

 世界一の借金大国にして最も少子高齢化が深刻な国がこれでいいはずはない。社会保障や公共事業の無駄を省き、膨張する防衛予算も徹底的に絞り込むべきだ。 

 

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