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【社説】

民進代表に前原氏 選ばれる党へ再生急げ

 民進党の新代表に前原誠司元外相(55)が選出された。再び選ばれる政党に再生するには、目指す社会像を示し、信頼回復に全力を挙げなければならない。

 民進党を取り巻く厳しい現状を象徴するような、盛り上がりを欠く選挙戦だったのではないか。

 七月の東京都議選での惨敗を受けた蓮舫代表の事実上の引責辞任表明に伴う代表選。枝野幸男元官房長官(53)との一騎打ちを制したのは、前原氏だった。

 前身の旧民主党時代からともに党や政権の中枢にあり、成功も挫折も経験したベテラン同士。「保守」「リベラル」と強いて色分けすれば、党の再生をリベラル系の枝野氏ではなく、保守系の前原氏に託したということだろう。

◆国政選挙で敗北続き

 旧民主党時代からほぼ毎年のように代表選が行われ、代表が頻繁に交代してきた。二〇〇九年の衆院選では政権交代を果たしたものの、それ以降の国政選挙では負け続け、党を取り巻く政治的な環境はより厳しくなっている。

 頻繁な代表交代は、民進党がどんな社会を目指しているのかという、党の理念や政策をも、見えにくくした。選挙敗北→代表交代→目指す社会像の不明確化。そうした信頼喪失の悪循環を断ち切ることができるのか。前原新代表と、それを支えるすべての党関係者の覚悟が問われている。

 一二年の自民党の政権復帰後、安倍晋三首相の「安倍一強」といわれる政治状況が続いてきたが、政権や国会の運営をめぐる強引さ、傲慢(ごうまん)さが指摘され、一強にも陰りが出始めている。

 しかし、野党第一党の民進党がその好機を生かし切れているとはとても言えない。

 共同通信社が八月三、四両日に行った全国緊急電話世論調査で、民進党の政党支持率は前月比0・9ポイント減の7・3%にとどまった。

◆政策提示は体系的に

 一般的に内閣支持率が上昇する傾向にある内閣改造を機に行われた調査だとはいえ、とても次の衆院選で政権を託せるような信頼感を、有権者から現時点で得ているとはいいがたい。

 一九九六年の旧民主党結成から〇九年の政権交代まで十三年かかった。再び政権交代を実現するには長い年月を要するのだろうが、政権転落からまもなく五年だ。

 小池百合子都知事率いる都民ファーストも国政進出をうかがう。民進党が手をこまねいていれば、自民党に代わる結集軸を他党に奪われ、党の存在意義すら失いかねない。新代表選出を民進党の閉塞(へいそく)状況打破の出発点とすべきだ。

 一八年十二月までに必ずある次の衆院選で、民進党は前原氏の下で再生した党の姿と、再び政権を託し得る政策の選択肢を有権者に示さなければならない。

 そのためにはまず、首相主導のアベノミクスに代わる経済政策をまとめ上げることが必要だ。

 前原氏は消費税10%への引き上げを容認し、増収分を教育の無償化や基礎年金の充実などに重点配分し、経済の好循環を生み出すことを提唱した。

 私たちは、消費税の安易な引き上げには反対だが、成長重視のアベノミクスに対する問題意識は共有する。現行の社会保障制度を持続可能なものにどう変えるのかも財源確保を含めて重要な課題だ。

 今後、経済、社会保障全般にわたる政策の取りまとめを急ぎ、財源確保の方策を含めて、自民党に代わる目指すべき社会像を、国民に対して体系的で、分かりやすい形で提示してほしい。

 安全保障政策も重要である。鳩山由紀夫首相は、沖縄県の米軍普天間飛行場の国外・県外移設を提唱したものの実現できず、退陣した。目指す方向が正しくても、実行力も覚悟もなければ、国民の期待は不信に変わる。

 前原氏を含む民進党が、安全保障関連法を違憲だとして廃止を求めるのは当然だとしても、安倍政権の安全保障に代わる政策をどう構築するのか。北朝鮮がミサイルによる威嚇を続ける中、現実的で国民を安心させる外交・安保政策を同時に示す必要があるだろう。

◆政権選択肢示す責任

 自民党の政権復帰から五年がたつが、自民党以外にいまだ政権や政策の選択肢がない状況は、健全な民主主義の姿とは言えない。

 その選択肢をつくるのは、野党第一党の民進党の役割であり、勢力の結集が前提だ。四分五裂を繰り返すようなことがあれば、政権交代の出発点にも立てない。

 前原氏は、これまでの執行部が進めてきた共産党との選挙協力に慎重だ。前原氏を含めて民進党は「三〇年代の原発ゼロ」を掲げているが、党内には慎重論もある。

 党内にさまざまな意見を抱えながらも、よりよい政策実現のために一丸となる。それが成熟した党の姿だろう。結束こそ力である。

 

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