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【社説】

クロマグロ 百年先にも味わいたい

 太平洋クロマグロの管理会議は、枯渇が危惧されるクロマグロの資源量を増やせれば、漁獲枠も拡大できる道を開いた。規制を守って増枠に挑みたい。百年先にもマグロをおいしくいただくために。

 中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)北小委員会は、日本近海を回遊するクロマグロの資源管理に当たる国際機関だ。

 韓国の釜山で開かれた十三回目の会合は、日本からの提案による、クロマグロ漁の“規制緩和”が焦点だった。

 人間が漁を始める前にどれだけクロマグロがいたと推定できるか、それを初期資源量と言う。北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)の報告では、太平洋クロマグロの現在の資源量は、初期資源量の2・6%。すでに「枯渇状態」とされている。

 まさに乱獲、まさに食べ尽くす勢いだ。

 漁獲量の六割近くが日本で消費されており、幼魚を短期間で太らせる蓄養ものを含めると、全漁獲の八割近くを食べている。

 WCPFCも、日本を特に注視しているはずである。

 そこでは、二〇一四年の段階で約一万七千トンに落ち込んだ成魚の量を、二四年までに約四万一千トンまで回復させる目標を掲げ、三〇キロ未満の幼魚の漁獲量を〇二〜〇四年平均の半分にするなどの規制を実施中である。

 釜山会議で日本は漁業者の意向を受けて、目標達成が危うくなれば規制を強化する一方で、回復が進めば漁獲枠を増やすという新たなシステムを提案した。

 これに対し、“自然保護”強硬派の米国が、日本近海のマグロ漁師の苦衷を察してやや譲歩。結局釜山会合は、日本提案よりも厳しい条件付きで、漁獲枠拡大の可能性を開くとともに、三四年までに成魚を十三万トンにするという長期目標を設定して閉会した。

 広大な太平洋を大回遊するクロマグロの管理は難しい。定置網にかかってしまうこともある。だが、この先の全面禁漁を免れるには、規制を厳守するしかない。

 一昨年、長崎県壱岐、対馬の一本釣り漁師たちが、現行の漁獲制限では「不十分」と産卵期の自主禁漁に踏み切った。

 これは自然保護というだけではなく資源保護。将来にわたってクロマグロを捕り続け、味わい続けるための手段であると−。

 私たち消費者も、このような海の男の心意気にこたえ、貴重な資源の乱費、“乱食”を戒めたい。

 

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