東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

北の脅威と日韓 「呉越同舟」その先は

 北朝鮮の核実験とミサイル発射は日韓双方にとって深刻な脅威である。一方で、日韓には歴史問題をめぐる確執が残る。対立を最小限に抑え、手を組んで、今そこにある危機を乗り越えたい。

 ロシア・ウラジオストクでの国際会議の場で、安倍晋三首相は五月に就任した文在寅・韓国大統領と会談した。両首脳は北朝鮮に対し、国連安全保障理事会でより厳しい制裁決議の採択を目指すなど、最大限の圧力をかけることで一致した。

 日本の統治時代に朝鮮半島から労働動員された徴用工と、慰安婦問題も議題になり、両首脳はこれまでの見解を重ねて表明した。韓国側の説明によると、両国が「歴史問題を安定的に管理」して、交流と協力を強化していくことを確認した。主張に隔たりはあるが、現段階では対立を深めるのを避けたとみられる。

 日韓メディアの調査では相手国への好感度はここ数年低いまま。国民感情も複雑だ。

 日韓の現状は故事成語の「呉越同舟」に近いのではないか。中国・春秋時代の国であった呉と越は争い、憎み合っていたが、ある時、呉人と越人が同じ舟に乗り、強い風に遭い、舟が転覆しないよう互いに助け合ったという話だ。

 北朝鮮による六回目の核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射が、日韓が乗る舟を襲う強風だと解釈できよう。

 日韓はこれまで北朝鮮への制裁など、米国と連携して外交圧力を加えてきた。北朝鮮の核、ミサイル情報を共有できる日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の運用をさらに進め、米国を含めた三カ国の防衛協力の実効性を高める必要がある。

 日韓はそれぞれ米軍との演習、訓練を活発化させているが、北朝鮮の挑発を抑止するためには、日米韓がそろって参加する海上と空域での訓練が増えるとみられる。

 ただ、韓国内には歴史的経緯とともに、同じ民族の北朝鮮との対話路線を重視する声もあり、日本との防衛協力を急ぐことに、根強い抵抗感があるのも忘れてはならない。

 日韓は今、北朝鮮の暴走を止めるため連携が必要だが、歴史問題での意見交換は続けなくてはならない。日韓がどういう政策をとってきたかを確認し、もし後続措置が必要ならば、何ができるのか考えるべきだ。双方が歴史問題をうまく管理できないと、防衛協力は順調には進まないだろう。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報



ピックアップ
Recommended by