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【社説】

受動喫煙の防止 家庭への介入は慎重に

 他人のたばこの煙にさらされる受動喫煙から、子どもを守る取り組みは支持したい。けれども、家庭での喫煙の在り方にまで口出しするのは、度が過ぎるのではないか。保護者の良識に委ねたい。

 二〇二〇年東京五輪・パラリンピックに向けて、東京都は飲食店や職場、百貨店といった多くの人々が使う施設を原則として屋内禁煙とする条例をつくる。小池百合子知事が表明した。年度内に議会に条例案を提出するという。

 自民党の反対に遭い、厚生労働省の法案づくりが足踏みするなか、小池氏が先手を打った格好だ。しかも、自民党との差別化を意識してか厚労省案より厳しい規制を考えている。

 争点となりそうなのは、例外扱いとするバーやスナックの規模だ。都の案は厚労省案と同じ三十平方メートル以下を目安とするが、すべての従業員が喫煙に同意していることなどを条件に加えるという。

 自民党は百五十平方メートルに緩めるよう主張し、厚労省案と対立してきた。国の議論が進まないなら都議会の動きに期待したい。

 気がかりなのは、今月二十日から開かれる都議会に、都民ファーストの会と公明党が共同で出す予定にしている、子どもを受動喫煙から守る条例案だ。

 議員提出のこの案は、家庭では子どもと同じ部屋でたばこを吸わないよう努力することを求め、子どもが同乗している自動車内では喫煙しないよう義務づける。

 受動喫煙が有害なのは科学的に明らかだ。たばこの煙から逃げることができない子どもを守るのは、大人の責務に違いない。

 だが、喫煙は合法だ。私的領域の営みにまで法令をもって踏み込むのは、行き過ぎではないか。

 小池氏の地盤、豊島区が足並みをそろえるように制定をめざす同様の条例原案はもっと突っ込んでいる。車ばかりか家庭でも、子どもがいる場は禁煙とするという。

 受動喫煙が続いていると疑われる子どもを見つけたら、区などに通報できるという仕組みまで盛り込んでいる。喫煙者を指導したり、禁煙治療などを助言したりできるようにするという。

 周囲に監視と通報を促す発想ではないか。子どもの健康を守るということを超えて、喫煙を取り締まるためではないかとすら疑う。

 何事によらず、公権力による私的空間への介入は慎重であるべきだ。子どもの受動喫煙をなくすには、保護者を信頼して共に歩んでいく姿勢こそが大切だろう。

 

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