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【社説】

土星探査20年 科学と夢をありがとう

 米航空宇宙局(NASA)が打ち上げた土星探査機カッシーニが任務を終えた。一九九七年十月の打ち上げ以来、ほぼ二十年間にわたって活躍。最期は土星の大気圏に突っ込んで燃え尽きた。

 生命はどのように誕生したのか。科学の大きなテーマである。地球以外にも生命が存在する星があるのかも関心が高い。

 今回の探査によって、土星の衛星タイタンやエンケラドスは、生命が誕生する条件を満たしていると考えられる。地球外生命体が存在する可能性が高くなった。人類は「特別な存在ではない」とも「宇宙で独りぼっちではない」とも語れるようになった。哲学にも影響を与えそうである。

 大きな輪を持つ土星は人気がある。七七年に打ち上げられた米探査機ボイジャー1、2号機以来の本格的な土星探査だった。十三年間にわたって土星を周回し、新たな衛星七個を発見し、土星の輪の微細な構造も明らかにした。

 欧州宇宙機関(ESA)が開発した小型探査機ホイヘンスはタイタンに着陸。地球とそっくりな景観の写真を送ってきた。空には雲があり、地表面には河川の流れた跡があった。北極には数千の湖や海があった。カッシーニやホイヘンスは天文学者の名にちなんで命名された。

 最大の発見は、エンケラドスで宇宙空間に液体の水が間欠泉のように噴出する現象を捉えたことである。その後、水の採取にも成功した。生命誕生に必要な有機物があり、生命誕生の場と考えられている熱水活動が今も起きている証拠も見つかった。太陽から遠く離れた衛星だが、生命が現在も生存しているかもしれない。

 最期は土星の大気圏に突入した。地球から生命体を持ち込むリスクをなくすためだった。

 膨大なデータの中から多くの発見をしたのは、日本人を含む研究者たち。ボイジャーが撮った写真で宇宙に関心を持った人もいるという。秋の夜空を見上げながら宇宙や生命のことを家族や友人と話してみてはいかがだろうか。

 カッシーニはNASAとESA、イタリア宇宙機関の共同プロジェクトだった。NASAは二〇二〇年代に木星の衛星エウロパに探査機を飛ばす計画を進めている。次の土星探査計画はこれからだ。ESAは二二年に木星探査機打ち上げを計画し、日本も協力する。日本も貢献することで、若い人の科学への関心を高めたい。

 

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