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【社説】

御嶽山噴火3年 火山研究の裾野広げよ

 噴火から三年。なお噴煙が立ち上る御嶽山の警戒レベルは「1」に戻された。復旧への道筋は見えてきたが、悲劇が浮き彫りにした課題への対応は緒に就いたばかりである。研究の裾野を広げたい。

 先月二十一日、気象庁は御嶽山の噴火警報を解除した。噴火警戒レベルは、それまでの「2」(火口周辺規制)から、ようやく噴火前と同じ「1」(活火山であることに留意)に戻された。

 地元自治体などでつくる御嶽山火山防災協議会は、シェルター設置や山小屋の復旧を待つため、当面は火口から一キロの立ち入り規制を続けることにしたが、安全対策が整えば、やがて、山頂付近の規制も解除されるだろう。

 観測体制の再構築も進む。

 当時、御嶽山の噴火警戒レベルは「1」だった。噴火が始まって「3」(入山規制)に引き上げられたが、時すでに遅く、多くの登山者が被災した。予測が難しいとされる水蒸気爆発だったが、山頂から三キロ離れた観測点では噴火の十一分前から火山性微動や傾斜変化が捉えられてもいた。

 こうした前兆を捉えて警戒レベル判定に生かすべく、気象庁はその後、国内火山の火口付近の観測を強化。地震計、傾斜計、監視カメラなどの設置を進めている。

 事前に周辺住民が避難し、予知の成功例とされる北海道・有珠山の二〇〇〇年の噴火では、いわゆるホームドクターとして地元で長年研究を続けた火山学者が噴火発生を予測していた。

 名古屋大も今夏、長野県の支援を受けて御嶽山の麓、木曽町役場の支所内に現地研究所を開設。登山シーズンには特任准教授が駐在し、「研究者と地元との顔の見える関係」の構築を目指す。地元にとって、心強い支援となろう。

 御嶽山の噴火で浮き彫りになったのは火山研究の深刻な人材不足。百十一もの活火山を抱える火山国なのに「四十人学級」といわれるほど少なくていいはずがない。

 文部科学省は研究者を倍増させる目標を掲げ、「次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト」を始めたが、科学を志す若者を呼び込むには、何よりも魅力ある学問分野にする工夫が必要だろう。例えば、火山学を専攻した若手研究者の雇用の受け皿となる地震・火山の調査研究機関の設置などを考えてはどうか。

 私たちは、火山と上手に付き合いながら生きていくほかない。火山研究の広がりが皆の幸せにつながることを忘れてはなるまい。

 

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