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【社説】

10・22衆院選へ 混迷の中に光明を

 混迷の中での衆院選である。老舗政党が急造新党に合流する急展開だ。「安倍政治」の対抗軸となり得るのか。慎重に見極めて、貴重な票を投じたい。

 衆院がきのう解散され、十月二十二日の投開票日に向けて、事実上の選挙戦に入った。

 安倍晋三首相は解散理由に、消費税率引き上げによる増収分の使い道を変更する是非を問い、ミサイル実験を繰り返す北朝鮮に毅然(きぜん)と対応するために政権基盤を固めることを挙げている。

◆「安倍政治」問う選挙

 とはいえ、議員任期を一年以上残して、急いで解散する大義としては根拠が弱い。ましてや野党側の憲法に基づく臨時国会の召集要求を無視し、召集した途端、全く審議を行わない冒頭での解散だ。

 野党側が、首相らとの関わりが指摘される学校法人「森友」「加計」両学園の問題をめぐる追及を逃れ、野党側の混乱や準備不足に乗じた「大義なき解散」と批判するのは当然だろう。

 自民党の政権復帰から五年近く。この間「知る権利」や人権が著しく脅かされかねない特定秘密保護法や集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法、「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法の成立を強行してきた。

 政権側がどんな選挙争点を設定したとしても、憲法を軽んじ、強引な政権・国会運営を進めてきた「安倍政治」そのものの是非を問う選挙としたい。

 そうした政治状況の中、民進党が両院議員総会で、衆院選では党の候補者は擁立せず、立候補予定者は小池百合子東京都知事が代表を務める「希望の党」に公認を申請する、という前原誠司代表の提案を了承した。希望の党への民進党の事実上の合流である。

◆「小池人気」にすがる

 民進党は、かつて政権を担った旧民主党の伝統を引き継ぐ。その老舗政党が、国政新党を立ち上げたばかりの小池氏の人気にすがる構図となることは否めない。

 「与党候補と一対一の構図をつくるため、あらゆる手段を取りたい」と述べてきた前原氏が、安倍政治の対抗軸をつくり出すために繰り出した苦肉の策なのだろう。

 その問題意識は共有する。民進党は党勢回復が見込めず、野党がバラバラに戦っては安倍自民党の優位を揺るがすことはできない。野党勢力が結集して、安倍政治に代わる政権の選択肢を示すことの重要性は否定しない。

 希望の党はエネルギー政策では「原発ゼロ」を掲げ、逆進性の高い消費税の税率引き上げにも慎重姿勢を示している。

 そうした政策には同意できるとしても、希望の党からの立候補が民進党支持層にとって最善の策なのかは、大いに疑問だ。

 希望の党は綱領で「平和主義のもと、現実的な外交・安全保障政策を展開する」ことを掲げ、細野豪志元環境相は安保関連法の容認を、公認の条件に挙げている。

 しかし、民進党は、歴代内閣が憲法違反としてきた集団的自衛権の行使容認に転換した安倍内閣の閣議決定を認めず、「憲法違反」と批判してきた安保関連法の採決では反対票を投じた。

 そうした民進党の前議員や候補が小池氏の同意を得て、希望の党の公認を得るには、政治姿勢の転換が迫られる。訴えてきた政策との整合性はどうなるのか。

 集団的自衛権の行使や安保関連法に反対する民進党を支持してきた有権者はどの政党・候補者に投票すればいいのか。

 自民党同様「保守」を掲げ、集団的自衛権の行使や安保関連法を認める政党が、安倍自民党に代わる選択肢となり得るのだろうか。

 報道各社の世論調査によると、希望の党に投票すると答えた人は結成間もないにもかかわらず、民進党を上回り、自民党に次ぐ二番目の多さだ。小池氏への期待の高さがうかがえる。

 有権者にとって大事なことは国民の暮らしをよりよくするために必要な政策を実現し、それに反する政策を強引に進めないことだ。

◆未来を決める可能性

 希望の党が民進党に代わる政党となり得るのか。「小池人気」に踊らされることなく、党が打ち出す理念・政策や、所属議員・候補の言動を慎重に見極めたい。

 公示まであと十日余り。本人は否定するが小池氏が都知事を辞めて国政進出の可能性も取り沙汰される。民進党の事実上の合流も、了承されたとはいえ波乱含みだ。

 従来にも増して混迷の中での難しい選択となるのは必至だが、強引な「安倍政治」に審判を下す機会と前向きに受け止めれば、光明が見いだせるのではないか。

 私たちの未来を決めるのは、有権者たる私たち自身である。その責任や可能性を自覚して、論戦に耳を傾けたい。

 

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