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【社説】

行政と議会 もたれ合いは断ち切れ

 行政をチェックすべき議会の議員が、行政側の組織のメンバーに就き、報酬をもらう。そんなもたれ合いのような慣行が、首都東京で引き継がれている。同様の問題は全国各地であるのではないか。

 行政側の組織とは、法律や条例に基づき、地方自治体の執行機関に置かれる審議会や審査会といった合議制の付属機関のことだ。

 首長らが諮問したテーマについて議論し、答申するのが主な仕事といえる。ふつうは、その結論を行政の施策に反映させる仕組みになっている。

 町づくりや福祉、教育、雇用など多岐に及ぶ分野で設けられ、民間の専門家や企業、住民団体の関係者らが委員を任される。専門知識を取り入れたり、民意を吸収したりする役割が期待されている。

 ところが、東京都の八月時点の実態を本紙が調べたら、全部で百三十八ある付属機関のうち三割を超す四十八の機関で、都議会議員のための委員ポストが用意されていた。会議に出ると、二万円前後の報酬が支払われるという。

 そればかりではない。都が出資したり、指導監督したりしている外郭団体などでも、議員向けの同様のポストが確保されていた。

 行政側の六十六の組織で、計二百四十五人分の委員などのポストが、議員枠として割り当てられていたから驚く。都議会定数(一二七)の二倍近くに上るので、かけ持ちする議員は少なくあるまい。

 長年の慣習だという。行政側にとっては議会対策になるし、議員側にとっては報酬を得つつ業界に顔を売る好機になる。そんな思惑の一致が背景にあるとも聞く。

 これでは、別々に選挙された首長と議員が、抑制と均衡を利かせながら、民主的な地方自治の実現をめざすという二元代表制の理念にそぐわない。それどころか、なれ合いの温床になりかねない。

 小池百合子知事は、行政側の組織と議員のあり方を見直す考えを示している。経費削減の視点も踏まえ、改善を望みたい。都議会でも検証するべきだ。

 たとえば首都圏では、群馬県と五つの政令市では、行政側の付属機関に議員が加わるのを原則として禁じている。共通するのは、二元代表制の重みをうたった議会基本条例を定めている点だ。

 もっとも、似た条例を持ちながら認めているところもある。権力分立に対する心構えが甘くはないか。もちろん、地域によってそれぞれ固有の事情があるけれど、ただの悪弊なら断ち切りたい。

 

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