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【社説】

中国共産党大会 健全な権力継承の道を

 中国の次の指導部を決める共産党大会が十月中旬に開かれる。世代交代による健全な権力継承を実現していくためには、習近平国家主席(党総書記)の院政につながる人事をしないことが肝要だ。

 党大会は五年に一度開かれる重要会議で、長期的な政策や指導部人事を決めるほか、党規約の改正も議題になる。

 九千万人余の党員から選ばれた代表約二千人が約二百人の中央委員を選出。中央委員会が形のうえでは、選挙で政治局常務委員などの最高指導部を選ぶ。

 だが、総書記をトップとする政治局常務委員の選出はベールに包まれており、水面下での激しい権力闘争の結果、新指導部が生まれるのが実情である。

 カリスマ指導者の一人、〓小平氏の事実上の指名で中国トップの座についた江沢民、胡錦濤の両氏は十年近く、党トップの総書記と国家主席を兼務した。

 むろん指導者交代にあたり権力闘争や政治的駆け引きはあったが、結果的に江氏、胡氏、習氏へと平和的に権力継承が行われた。

 今回の党大会で懸念されるのは、習氏への権力と権威の集中が進みすぎたため、後継者が決まらない可能性があることだ。

 かりに後継候補が政治局常務委員に入っても、五年後の二〇二二年の党大会で習氏が引退せずに党の事実上のトップとして最高権力を握り続ける“院政”を心配する声も強い。

 党大会を前に、党政治局会議は習氏の政治理念を党規約に盛り込む方針を決めた。「習近平思想」のように建国の父・毛沢東と肩を並べる表現になるかどうかはまだ不明だが、習政権は「一強」の弊害が目立ち始めている。

 習氏は、毛沢東が死ぬまで務めた「党主席」復活も画策しているという。過度の権力集中が文化大革命の過ちを招いたとして、一九八二年に廃止された制度である。

 確かに反腐敗闘争で権力基盤を固めた習氏は「中華民族の偉大な復興の夢」を掲げ、近年の先輩指導者と比べ、長期的な視野で中国の発展を進めようとしている。その政治力は評価したい。

 だが、個人崇拝の禁止や集団指導体制の堅持は、文革で辛酸をなめ尽くした中国が編み出した政治の知恵である。

 毛沢東時代に回帰するような個人への権力集中は危険である。

 今回の党大会では、健全な世代交代に道を開くような人事を期待したい。

※〓は、登におおざと

 

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