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【社説】

<衆院選>経済政策 思いつきノミクスでは

 主要政党の経済政策はアベノミクス、ユリノミクスなどを名乗るが、名付けるほど中身を伴っているだろうか。検証も経ず、あるいは実効性が疑わしければ公約にふさわしい政策とはいえまい。

 自民、公明は戦後二番目の長さといわれる景気の拡大や雇用改善を実績と強調し、アベノミクスのさらなる加速を訴える。

 しかし賃金は伸びず、消費も停滞するなど経済の好循環には至らず、国民に景気回復の実感はない。アベノミクスは経済成長と財政再建の両立を金看板とするが、メッキが剥がれかけていないか。

 選挙戦で安倍晋三首相は「消費税増税の増収分のうち、借金返済に回す分を削り、教育無償化に充てる。この使途変更によってプライマリーバランス(PB)の二〇二〇年度の黒字化は先送りすることになる」と説明した。

 だが仮に使途を変更せず、また今後の成長率を例外的に高く見積もったとしても二〇年度PB黒字化は限りなく不可能に近かった。

 与党内で議論した形跡もない使途変更を首相が唐突に持ち出したのは、PB黒字化目標を達成できないことの言い訳、すなわちアベノミクスの行き詰まりを糊塗(こと)するためといわれても仕方あるまい。

 むしろ四年半にわたって異次元の金融緩和や財政拡張を続けてきたひずみやリスクの蓄積を懸念する声が高まっている。

 日銀が大量の国債を買い入れる異次元緩和は、財政規律を失わせ、市場機能も一部マヒさせている。実際、財政の信用を示す国債の保証料率が急上昇している。

 一方、希望の党のユリノミクスも、誰がどのように検討したのかもわからず、政策というよりは実現性を伴わない目標、単なる主張の域を出ないのではないか。

 アベノミクスとの大きな違いは、消費税増税を凍結し、代替財源に企業の内部留保への課税を検討する点だ。賃上げや設備投資に企業を誘導する効果を狙うものだが、一五年から実施した韓国では株主への配当を増やす効果しかなかった。法人税との二重課税になる問題や財源確保の面で疑問がある。

 立憲民主や共産、社民も増税反対で足並みがそろう。富裕層や大企業への増税、中間層の再建支援といったアベノミクスがもたらした格差への是正策は時宜を得たものだ。再分配政策の強化に足る財源を確保できるのか実行力こそが問われるだろう。

 

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