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【社説】

日中首脳会談 小さな一歩を「実り」に

 ベトナムでの日中首脳会談では関係改善推進で一致した。日中首脳は「新たなスタート」と意気込む。会談での小さな一歩を、両国間の懸案解決に向けた「実り」につなげてほしい。

 安倍晋三首相と中国の習近平国家主席の首脳会談は、六度目にして初めて笑顔で握手を交わす明るい雰囲気のものとなった。

 安倍首相は「関係改善を力強く進めていきたい」と述べ、日中平和友好条約締結四十周年にあたる来年、相互訪問を実現することを提案。習主席も「ハイレベルの往来を重視する」と応じた。

 七月のドイツでの首脳会談では関係改善への兆しはあったが、首脳同士の信頼関係がまだ十分ではないように映った。習氏が会談を「(両国関係の)新たなスタートになる」と総括したのは、首脳同士が会うこと自体が政治課題になってきた「厳冬の時代」を乗り越えたと評価できる。

 日中が角を突き合わせた時期は、双方の首脳とも内向きな政治的求心力を高めようと、相手に高圧的な態度を取ったことは否定できない。両国の国民にとって不幸なことである。

 関係改善の背景には、安倍首相が衆院選で圧勝し、習主席が共産党大会で権力基盤を盤石にしたことも大きい。双方とも外交安定に本腰を入れることができる環境が整ったとはいえる。

 政治の風向きは順風に変わったとはいえ、北朝鮮の核・ミサイル開発への対応や、懸案の尖閣諸島、南シナ海の問題の解決に向けた道筋は容易ではない。

 両首脳は北朝鮮の非核化が共通目標であることを確認した。安倍首相は圧力強化を主張したが、習主席は対話重視の姿勢を崩さなかったようだ。

 原油供給の制限を柱とする国連安保理の制裁決議を中国が守っているのは国際社会も評価している。だが、北朝鮮に最も影響力のある地域の大国として半島の非核化を実質的に進めるため、リーダーシップを発揮してほしい。

 中国の海洋進出も念頭に置く「自由で開かれたインド太平洋戦略」について日本側から言及はなかったという。

 まずは関係改善優先との判断であろう。だが、尖閣周辺への中国公船の度重なる侵入や、南シナ海での力による中国の海洋権益拡大は日中関係や東南アジア諸国とのトゲとなり続けている。

 歩み寄りの機運を、真の懸案解決への動きとするべきだ。

 

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