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【社説】

バリアフリー法 世界水準へ底上げせよ

 二〇二〇年東京五輪・パラリンピックまで三年足らずなのに、日本のまちはバリアーであふれている。世界から“人権後進国”と見られては恥ずかしい。バリアフリー水準の大幅な底上げが急務だ。

 日本は三年前に障害者権利条約を結び、障害者を分け隔てしないまちづくりを世界に宣言した。その約束を果たしているか。五輪・パラリンピックでは厳しいチェックのまなざしにさらされよう。

 まちの核となる公共交通施設や建築物、道路などのバリアフリー化を後押しする現行法は、施行されてからほぼ十一年が過ぎた。国際常識から見て大きく立ち遅れているといえる。

 目の不自由な人が駅のホームから転落したり、車いす使用者が飛行機のタラップを腕だけで上がったり。そんな日本の現実を知れば、世界は驚愕(きょうがく)するに違いない。

 バリアフリー法は、来年の通常国会でようやく改められる見通しだ。高齢者を含め、身体機能が制限された人のための福祉的な環境づくりという旧態の発想は、もはや拭い去らなくてはならない。

 公共空間を安全かつスムーズに移動し、サービスを利用する権利は万人にある。心身にどんな機能障害があっても、その権利が等しく守られる環境を整えるという発想への転換が欠かせない。

 それは結果として、子どもや妊産婦、外国人、ベビーカーやスーツケースを運ぶ人たちにも役立とう。新しいまちづくりでは、あらかじめ多様な存在を想定したユニバーサルデザインをめざしたい。

 現行法体系のバリアフリー化の基準は甘く、身体障害者の立場に限って見ても課題は山積みだ。

 例えば、欧米諸国では小さな店舗でも、車いすで利用できる。日本では床面積二千平方メートル以上の建物にしかバリアフリー化の義務はなく、食事や買い物などが自由にできる店舗は極端に少ない。

 災害時は深刻な事態が生じる。避難所となる地域の学校はバリアフリー化の義務から外れていて、行き場を失う障害者が絶えない。

 五輪・パラリンピックを控え、とりわけ問題視されているのは、ホテルのバリアフリーの客室だ。五十室以上の宿泊施設で一室以上という緩い基準が災いし、不足するのは必至だろう。

 社会のグローバル化、高齢化を背景に、人権意識が一層問われるようになってきた。障害者らの声を反映しながら、誰もが暮らしやすいまちづくりが全国で着実に進むような法整備を期待する。

 

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