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【社説】

ロシア除外 五輪の価値を守り抜け

 国際オリンピック委員会(IOC)が平昌冬季五輪からロシア選手団を除外した。三年後の東京五輪にも影響を及ぼすかもしれず、抜本的解決の道筋を早急につけなければならない。

 掘っても掘っても深い闇が出てくる−。苦渋の決断を下したIOCのバッハ会長は、そのような心境だったことだろう。

 スポーツとは一定のルールの下で公正に競われることが大前提としてある。加えて筋肉増強剤など禁止薬物の使用はさまざまな副作用を引き起こすことが指摘され、うつ病などを招いて自殺に追い込まれた高校生もいる。

 人々に感動、希望を与え、子供たちに夢をもたらす存在であるトップクラスの選手が、栄光の陰でそのような薬物を摂取していたことは許しがたい愚挙といえる。

 ましてそれが「国ぐるみ」で行われ、検体のすり替えなどドーピング検査の実態のなさも明らかになった。IOCは独自の調査で腐敗の科学的証拠、証言を得たとされる。ロシアが否定を続けても、不正を働いた当事者に厳罰を科し、選手団結成を止めるしか手だてはなかった。

 開催コストの増大で五輪の立候補都市が減少しているIOCにとって、冬季五輪の主役であり続けたロシアの排除は財源であるスポンサーシップや放映権料などにも影響を及ぼすかもしれず、難問の連続となる。それでも最終的にはスポーツの尊厳を守ることを優先したといえる。

 ただ、この問題の根の深さは、ロシアが今後も処分に対して反発を続けると予想されることだ。

 問題に対して真摯(しんし)に反省し、処分を受け入れる姿勢を見せない限り抜本的解決の道筋は見いだせず、ロシアのドーピング問題は三年後の東京五輪まで引きずっていく可能性はある。さらにロシアだけにとどまらず、陸上王国ケニアなど、疑惑が近年取りざたされる他国にも及ぶかもしれない。そうなれば東京五輪は混乱に陥り、五輪の価値そのものを問うことにもなりかねない。

 歯止めをかけるためにも、ロシアは世界反ドーピング機関(WADA)などの指導でドーピング根絶に向けた活動を繰り広げ、国内外にアピールするべきではないか。IOCもロシアに対し、それら第三者機関による関与を受け入れて世界各国の信用を取り戻すよう、粘り強く説得を続けていくことが必要だろう。ロシア選手団の除外は決してゴールではない。

 

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