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【社説】

首相年頭会見 改憲論議急ぐことなく

 安倍晋三首相が記者会見で、今年を憲法改正に向けた議論を深める一年にしたいと強調した。しかし、安倍政権下での改憲に反対する人は依然、半数を超える。日程ありきで議論を急ぐべきでない。

 安倍首相がきのう伊勢神宮参拝の後、現地で記者会見した。二〇一八年、日本政治の始動である。

 今年は、安倍氏が連続三選を視野に入れる自民党総裁選が九月に行われ、改憲も現実的な政治課題として語られる。日本政治にとって節目の年となるだろう。

 首相は会見で、北朝鮮の核・ミサイル開発への対応と、「働き方改革」で成果を上げる決意を強調した上で、自らが目指す憲法改正について「今年こそ憲法のあるべき姿を国民に提示し、改憲に向けた国民的な議論を一層深めていきたい」と述べた。

 自民党憲法改正推進本部は、昨年十月の衆院選で政権公約の重点項目に掲げた、自衛隊の明記▽教育の無償化・充実強化▽緊急事態対応▽参院の合区解消−の改憲四項目について検討してきた。

 首相の発言は、引き続き党内議論を進め、改憲案を年内に提示するよう促したものである。

 憲法に改正手続きが規定されている以上、改憲の議論自体は否定されるべきではないが、国家統治の基礎法である憲法に手を加えるのなら、改憲を必要とする切迫性と、幅広い国民の同意が前提だ。

 しかし、本社加盟の日本世論調査会が先月実施した憲法に関する世論調査によると、安倍首相の下での改憲に53%が反対し、改憲の国会論議は、67%が「急ぐ必要はない」と答えた。九条改憲についても「必要はない」とする人が53%と半数を超える。

 安倍政権は、日本周辺の情勢緊迫化を理由に、敵基地攻撃も可能な巡航ミサイルの調達方針をすでに決定し、F35戦闘機を搭載する空母の導入も検討している。

 首相が、改憲によって「今後も国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の基本理念が変わることはない」といくら強調しても、平和主義が変質する可能性を国民が見抜いているからこそ、安倍政権下での改憲に半数以上が反対しているのではないか。こうした状況で強引に議論を進めても、国民の理解はとても得られまい。

 首相は会見で「スケジュールありきでない。与野党で幅広い合意形成を期待したい」と強調した。その言を違(たが)えず、反対意見にもよく耳を傾け、日程ありきの拙速な議論は厳に慎むべきである。

 

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