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【社説】

米軍ヘリ不時着 基地集中が招いた危険

 沖縄県でまた米軍ヘリコプターが不時着した。トラブルが何度も繰り返されるのは、米軍基地が狭い県土に集中しているからにほかならない。国外・県外移転など抜本的な対策を講じるべきである。

 八日午後、米海兵隊普天間飛行場(宜野湾市)所属のAH1攻撃ヘリコプターが、読谷村の廃棄物処分場に不時着した。リゾートホテルのホテル日航アリビラの敷地から約二百五十メートルの至近距離だ。

 けが人がいなかったのは幸いだが、同飛行場所属機は、UH1多用途ヘリが六日、うるま市伊計島の東側海岸に不時着したばかりである。昨年十月には東村の牧草地にCH53E大型輸送ヘリが不時着、炎上しており、部品落下も相次いでいる。

 機体の点検整備体制に深刻な問題があると、考えざるを得ない。整備不良の米軍機が、日本国民の頭上を飛び交うことなど、もっての外だ。危険な状況を放置してはならない。にもかかわらず、不時着機を含め同型機を在日米軍は既に飛行させている。これは原因究明までの飛行中止を求めた県の要請を無視したことになる。

 米軍機事故が起きると、政府は飛行自粛を要請するものの、米軍側の一方的な飛行再開を繰り返し追認してきた。これで主権国家の政府と言えるのか。

 政府は米軍側の言い分をうのみにせず、日本側として安全を確認できなければ飛行は認めないくらいの強い態度で臨むべきである。

 在日米軍専用施設の約70%が沖縄県に集中している現実から、政府のみならず、本土に住む私たちも目を背けてはなるまい。

 これほど頻繁に事故やトラブルが起き、日々騒音に悩まされ、米兵らによる犯罪が頻発するのは、狭い県土に基地が集中しているからに、ほかならないからだ。

 安倍政権は、普天間飛行場を名護市辺野古に移設すれば、県民の基地負担は軽減されるように宣伝しているが、米軍基地を同じ県内で「たらい回し」しても、沖縄県民にとっては抜本的な負担軽減にはつながらない。同飛行場の国外・県外移設の検討を本格的に始めるべきではないか。

 沖縄県の翁長雄志知事は「県民が日常的に危険にさらされても抗議もできない。日本政府は当事者能力がない」と矛先を政府にも向けている。安全保障のために県民の安全・安心を犠牲にしてもいいはずがない。安倍政権は今度こそ、沖縄県民の声と誠実に向き合うべきである。

 

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