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【社説】

自衛隊組織改編 絶えず検証が必要だ

 自衛隊の組織はどうあるべきか。情勢の変化に応じて柔軟に改編すべきは当然だが、先月発足した陸上総隊と水陸機動団は役割を果たし、国民の理解を得られる組織なのか。絶えず検証が必要だ。

 一九五四年に陸上自衛隊が発足して以来、最大規模の組織改編だという。三月二十七日に新編された陸上総隊と水陸機動団である。

 陸自はこれまで海自の自衛艦隊や空自の航空総隊のような中央組織を持たず、防衛相が全国五つの方面隊を指揮していた。

 太平洋戦争で旧陸軍参謀本部のような中央組織が暴走した反省などを踏まえ、五人の方面総監に権限を分散したため、とされる。

 陸上総隊は五方面隊を統括し、指揮を一元化する。

 確かに、五方面隊にそれぞれ命令を出すのは非効率ではある。広域での即応が必要な大規模災害や有事では、指揮を一元化した方が機敏に対応できるだろう。ではなぜ、陸上総隊が方面隊ではなく、師団や旅団などの部隊を直接、指揮できる形にしなかったのか。

 かつて首相官邸に置かれた防衛省改革会議は二〇〇八年七月、方面隊など「中間司令部」の在り方を見直すよう提言する報告書をまとめたが、「方面隊は必要」とする陸自の反対で陸上総隊の新設のみにとどまった経緯がある。

 組織防衛のために屋上屋を架すのだとしたら、組織は肥大化し、効率化の理念からは程遠い。陸上総隊が機能的な組織たり得るのか引き続き検証が必要だろう。

 一方、水陸機動団は約二千百人規模で新編され、主として南西諸島などの離島防衛を担う。占拠された島を奪還するため、敵前上陸も想定している、という。

 ただ、機動力が整わない中での発足だ。導入予定の垂直離着陸輸送機オスプレイは安全性に疑問が残り、佐賀空港への配備が難航している。上陸時に使う水陸両用車も納入が遅れているとされる。

 離島防衛の重要性は理解するとしても、外国の領土にも上陸できる米海兵隊のような部隊が専守防衛の日本に必要なのか。米国から高額の防衛装備品を次々と購入することが妥当なのか。

 安倍政権下で防衛費は増加の一途だ。長距離巡航ミサイルの導入はすでに予算化され、「空母」保有構想まである。自衛隊が国民の信頼を得るに至ったのは災害派遣などの地道な活動と、節度ある防衛力の整備に努めたからだろう。組織も装備も、その歯止めを失っては、国民の理解は得られまい。

 

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