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【社説】

新潟女児殺害事件 子の安全の再点検を

 新潟市での女児殺害事件の異様さは、社会に大きな衝撃を与えた。教訓を得るためにも、警察は真相究明に全力を挙げてほしい。大人はあらためて、子どもの身の安全を徹底的にチェックしたい。

 楽しい思い出を刻んだに違いないゴールデンウイーク明けの悲劇だった。市立小学校二年の七歳の女子児童が帰宅寸前に連れ去られ、自宅近くを通る電車にひかれた状態で見つかった。

 死体遺棄と死体損壊の疑いで、警察に逮捕されたのは、電気工事士として会社に勤める近所の二十三歳の男だった。容疑を認めているという。

 女児の自宅、男の自宅、そして遺体発見現場の三地点は、半径八十メートルほどの範囲に収まる。あいさつを欠かさない仕事熱心な好青年と周囲が語る男は、なぜ残忍な犯行に駆り立てられたのか。

 女児は別の場所で首を絞められて殺害され、電車事故を偽装するために線路に捨てられた。警察はそう見立てているらしい。

 あまりにむごい。二度殺されたに等しい。遺族の怒りと悲しみはいかばかりか想像を絶する。

 子どもの連れ去り事件が後を絶たない。警察庁の過去十年間の統計では、毎年九十件前後で推移している。少子化が進むのに、減る気配がないからなおさら心配だ。

 子どもの安全を守る魔法のつえはない。身近にいる大人がしっかりと見守り、危険を避ける術(すべ)を身につける教育を重ねるしかない。

 地元では昨年来、多くの不審者情報が出回っていた。目を光らせる大人がもっと増えていれば、結果として今度の事件を防ぐことができたかもしれない。

 例えば、NPO法人の体験型安全教育支援機構は、まずは個々の住民が“瞬間ボランティア”の意識を高めてほしいと呼びかける。

 散歩や買い物、庭掃除、病院の送り迎えといった日常活動の中で、子どもに注意を払う。警察や防犯組織と情報を共有し、パトロール力の底上げを図るねらいだ。

 さらに、子どもがとっさの場合にきちんと反応できるよう、安全確保の方法を体験を通じて学ばせる取り組みが大事だ。

 防犯標語に「イカのおすし」がある。ついて「いか」ない、車に「の」らない、「お」おきな声を出す、「す」ぐ逃げる、「し」らせる。だが、知識として覚えているだけでは実効はない。

 声の大きさ、逃げる距離、どう誘いを断り、誰に何を伝えるか。体を使った訓練を積み重ねたい。

 

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