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【社説】

米朝首脳会談 中止は双方望まぬはず

 米朝首脳会談の中止を米国が通告した。北朝鮮は、北東部の核実験場の爆破に踏み切ったものの事態は流動するかにみえる。それでも信頼を築き、米朝首脳会談実現へとつなげるべきだ。

 北東部・豊渓里の山中にあるこの実験場では、過去六回の核実験が行われてきた。

 北朝鮮は、廃棄に際して約束していた専門家の立ち会いを認めなかった。この施設で、核実験がどう行われたのか不明なままであり、大変残念だ。

 北朝鮮は二〇〇八年にも、寧辺にある原子炉の冷却塔を爆破し、メディアに公開したことがある。しかし、実際の非核化にはつながらず、単なる「爆破ショー」で終わっている。

 今回も同じ懸念は残るが、金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長が完全な非核化と、経済建設への専念を表明した上での行動である。「もう核実験は行わない」という決意の表れと受け止めたい。

 六月十二日には史上初の米朝首脳会談が予定されていた。この会談が計画されたのは、北朝鮮が四月に核実験場の廃棄を約束したことが大きな要因となった。

 ところが北朝鮮は今月十六日、突然態度を硬化させた。南北閣僚級会談を中止し、米韓両国に対して、軍事訓練の中止も求めた。

 さらに米朝首脳会談の中止も示唆し、核実験場廃棄への韓国メディアの取材も一時拒否した。

 米朝首脳会談で、一方的に非核化を求められることに不満があったようだが、こういった突然の姿勢の変化は、北朝鮮への信頼を失わせ、マイナスにしかならないことを認識すべきだ。

 一方トランプ米大統領も、会談の延期をにじませるなど、首脳会談開催をめぐっての駆け引きが激しくなっていた。

 朝鮮半島の平和と安定につながる米朝首脳会談の実現に、世界の多くの人が期待をかけている。

 これを両首脳は、決して忘れないでほしい。

 ポンペオ米国務長官によれば、金委員長は、体制の保証、朝鮮戦争の終結、米国などからの直接投資を求め、実現のため非核化が必要だと認識しているという。米国側は、北朝鮮に体制の保証を与える一方、完全な形の核廃棄を、短時間に実現することを求めており、まだ溝は深い。

 今はまだ長い道のりの始まりでしかない。対立は交渉具体化の表れでもあり、会談実現は両者が望んでいるはずだ。

 

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