東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

文科省汚職 官僚の腐敗はどこまで

 事実とすれば、許されない権力の私物化だ。受託収賄の疑いで逮捕された文部科学省の能吏は出世するにつれ、良心を失ったか。未来を担う教育行政が汚職の舞台とは、国の先行きも危ぶまれる。

 捜査当局の見立てはこうだ。

 前科学技術・学術政策局長の佐野太容疑者は、官房長だった昨年五月、東京医科大学の臼井正彦理事長から私立大支援事業の対象校に選んでほしいと頼まれた。

 その便宜を図る見返りは、自分の息子の入学試験の合格だった。得点を水増ししてもらった疑いがある。競争倍率は一六・五倍と狭き門だった。

 次官候補とまで目されたエリート官僚は子煩悩がすぎたか。個人の資質の問題に矮小(わいしょう)化するのではなく、背景をあぶり出さねば、不正が繰り返されかねない。

 支援事業では、私立大間の競争を促して先進的な取り組みを提案させ、助成する。少子化で受験人口が縮小し、経営環境が厳しさを増している大学にとっては、ぜひとも獲得したい資金といえる。

 助成金は税金で賄われ、有識者の組織が対象校を選ぶ段取りになっている。疑問なのは、東京医科大は二〇一七年度には対象校に選ばれ、ほぼ同じ取り組みを申請した一六年度には落選したことだ。

 人事や予算について幅広い権限を持つ官房長の地位にあったとはいえ、佐野容疑者はどうやって有利な取り計らいをしたのか。

 選定手続きが公平、公正になされているのか疑問が拭えない。有識者組織の中立性がゆがめられていないか。検討過程をすべて公開し、徹底的に検証するべきだ。

 大学入試への信頼も大きく失墜した。例えば、トップの意向ひとつで点数を簡単に操作できるのでは、試験を課す意味そのものが失われる。大学界全体に跳ね返る深刻な事態というほかない。

 最近、中央官僚が絡んだ腐敗や疑惑が絶えないのはどうしたことか。倫理観の欠如が目に余る。

 文科省では組織的な天下り斡旋(あっせん)問題が発覚した。安倍晋三首相の友人が理事長を務める加計学園の岡山理科大獣医学部の開設は、利益誘導だった疑いが残る。

 森友学園との国有地取引をめぐり、財務省は決裁文書を改竄(かいざん)するなどして国会を欺き、国税庁長官が辞任した。財務次官は女性記者へのセクハラに及び、去った。

 腐敗は想像以上に深く進行しているのではないか。食い止めるには、少なくとも役所の情報の公開性を格段に高めねばならない。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報