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【社説】

携帯電話料金 値下げ議論は不可避だ

 携帯電話の料金問題が急浮上している。菅義偉官房長官が値下げを促す発言を行った。国の口出しは慎むべきだが、公共の電波に関することでもある。料金のほかにも課題は山積し改革は急務だ。

 菅官房長官は、携帯大手三社の通信料金について「四割程度下げる余地がある」と述べた。

 政府高官が個別の製品の値段について言及するのは本来の経済ルールに反する。料金設定は事業者の自由が原則で政府の口先介入には「民業圧迫」との批判も出よう。ただ携帯料金をめぐる消費者の不信感があるのも事実だ。

 国内の通信市場はNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの三社がほぼ独占。菅官房長官は、日本の料金が経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の二倍であると指摘し、さらに市場独占を念頭に公正な競争原理が働くよう促した。

 携帯料金の国際比較は難しい。サービス体系や事業者のあり方のほか生活水準そのものがまちまちだからだ。だが日本では消費者が、異様なほど複雑な料金体系に不満を抱き、料金水準にも疑問を抱いているはずだ。ようやく改善が図られる他社への乗り換えを抑制する「四年縛り」など、誠実とは言い難い販売手法も消費者の不信に拍車をかけた。一方、三社は今年三月期の連結純利益が合計二兆円を超え、売上高に対する営業利益率も14〜20%とほぼ2〜3%で推移する主要産業平均よりかなり高く、もうけすぎ批判さえ出ている。

 三社側からは、基地局の維持や、車の自動運転などに利用できる「5G」という次世代の技術への投資などで今後、多額の費用がかかるとの反論も出よう。また官房長官発言自体が政権浮揚を狙ったとの見方もできる。

 しかし固定電話が激減する中、携帯は唯一の「電話」になりつつある。生活に欠かせない機器で災害時には命を守る手段だ。それゆえに携帯事業者は公共の電波を使用している。その機器の料金が家計の負担になっているのなら改善するのは当然だ。

 情報通信審議会(総務相の諮問機関)では携帯電話のあり方について議論が二十三日スタートした。そこでは料金引き下げはもちろん、販売手法や市場の寡占化などさまざまな課題を消費者の立場で議論する必要がある。同時に三社は議論を通じ、「携帯電話は公共のためにある」ことを再認識すべきだ。

 

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