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【社説】

<北海道地震>震源は内陸 「できる備え」を急ごう

 大被害をもたらした台風21号が通過した後、北海道で大地震が起きた。過去の主な北海道での地震とは違い震源地が内陸だった。予断を捨てて、全国規模で地震の被害に備える態勢づくりは急務だ。

 北海道では、海底にあるプレートと呼ばれる岩板の境界で発生する地震が多かった。十勝沖では死者・行方不明者三十三人を出した一九五二年のケースをはじめ、繰り返し地震が起きている。また一九九三年には奥尻島などで死者・行方不明者二百三十人を出した北海道南西沖地震が起きた。これらはいずれもプレート境界で発生している。

 しかし今回は、苫小牧市などがある北海道胆振(いぶり)地方を震源として起きた。地震について気象庁は内陸を走る断層がずれて起きたと分析している。断層の片方がせり上がる「逆断層型」の地震だという。札幌の約三十キロ東で南北にのびる石狩低地東縁断層帯と呼ばれる活断層があり同庁は関連を調査中だ。現段階で正確な被害は不明だが、地表が火山灰質に覆われた地域の一部では、大規模な土砂崩れや液状化が発生している。

 実は北海道では、十勝沖から択捉島沖までのびる千島海溝沿いで巨大地震が起きるのではないかと懸念されている。ところが今回、その予測とは違う場所で大きな地震が起きてしまった。つまりプレートの境界だけでなく、内陸部を震源とする大地震も起きることが裏付けられた形だ。

 ただ、こうした地震の発生地域に関する「意外感」は北海道だけに起きる感覚ではない。阪神大震災(一九九五年)、今年六月に起きた大阪府北部地震でも住民らから驚きの声が上がった。明治時代以降一層開拓が進んだ北海道では、それ以前の地震の記録がやや少ないといわれる。しかし記録がある地域であっても災害の記憶は薄れやすい。東日本大震災でさえ風化への懸念がある。

 地震がいつどこで起きるか予測することは不可能だ。残念ながら「万全の備え」はできない。

 だが予測できることもある。例えば地震など災害に弱い土地を見分けるといった調査だ。土砂崩れや液状化が起きやすい地域は、丹念に調べればかなりの精度で分かるはずだ。地域が分かれば対策も打てる。国と自治体が一体となり早急に「できる備え」づくりに取り組むべきだ。

 

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