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【社説】

トヨタ・ソフトB 車を社会インフラに

 新しい移動サービスを生み出すため、トヨタ自動車とソフトバンクが手を組んだ。あらゆるモノがインターネットとつながる時代を迎える中、社会インフラとして車を進化させる挑戦となる。

 カラーの違う企業のタッグだ。そもそも、成り立ちが異なる。トヨタがものづくりを地道に続けてきた会社なら、ソフトバンクは通信会社ながら投資会社としての顔も持つ。つい一年前までは技術開発の思想も違った。例えば、人に寄り添うロボットでは、ソフトバンクが自ら感情を持つヒト型を介護現場にも役立てる一方、トヨタは人の代わりに動くだけなら感情は不要と考えていた。

 水と油にさえ映る両社を結び付けたのは何か。それぞれ「情報」を巡る事業変化が急速に進んでいるからだ。自動車業界では、ネットで車とつながる情報が増え、さらに自動運転が実現すれば、車の利用が所有から共有へ変わってくるとみられている。トヨタが移動サービスの提供を目指すのも、カーシェアリングや相乗りサービスの普及を見越してのことだ。

 通信業界では無線通信の高速化などの対応を急いでいる。ソフトバンクは、ビッグデータを解析する人工知能(AI)への投資を進め、半導体などAI関連企業を傘下に収めてきた。データの収集と分析からサービス提供まで一貫して手がける企業になろうとし、成長を見込める事業として次世代の移動サービスを考えている。

 相乗り大手の米ウーバー・テクノロジーズや東南アジアのグラブは、共にソフトバンクが筆頭株主。トヨタも出資して関係を深めている。その両社の提携は国レベルの競争を考えても理にかなう。

 車の自動運転や情報化では、自動車とITの世界大手が入り組む形で開発を競っている。トヨタが世界で販売する車から集める走行データと、ソフトバンクがスマホなどから得る人の移動データを融合できれば、「日本連合」としての強みになる可能性がある。

 両社が共同出資する新会社が日本で描く事業は、過疎地などで交通弱者の解消を目指している。当面は需要予測に基づく配車で人やモノを運ぶ。将来はトヨタが開発中の商用電気自動車の自動運転を投入し、病院に行く間に予備的診察ができるバスや移動コンビニなどを手がけるという。

 規制の壁があるだけに、国や自治体を巻き込み、どう普及するか。海外での展開までにらめば、時間はあるようでない。

 

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