巨額の損失隠しが表面化したオリンパスについて、東京証券取引所が上場維持を決めた。資産運用に失敗して生じた損失は総額一千億円以上に上る。長年にわたる損失隠しには歴代のトップが関わっていた。
社長が先頭に立って隠していても「組織ぐるみではない」という判断はどうかと思う。経理部門や監査役は何をしていたのか。社長ら数人だけで隠し通せるような話ではないはずだ。
同じように有価証券報告書の虚偽記載で上場廃止になったライブドアや西武鉄道のケースと比べても、オリンパスの虚偽記載が「悪質ではない」とした東証・自主規制法人の判断には首をかしげざるをえない。
心配なのは、今回の措置によって世界の投資家の間に「日本企業は怪しい経営をしている」「日本では資本主義のルールが機能していない」という評判が広がる可能性である。
日本株を扱う欧米の証券会社には海外投資家から「ほかにオリンパスのようなケースはないのか」と問い合わせが殺到している。具体的に「突然、監査法人を変えた会社をすべてリストアップしてくれ」という指示もあるという。
上場維持を決めた背景には、廃止にするとオリンパス株式を組み入れた投資信託などが値下がりして、日本株全体にダメージが広がるからだという解説もある。話は逆だ。今回の決定で日本経済全体の信用が傷ついた。 (長谷川幸洋)
この記事を印刷する