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【私説・論説室から】

アメリカという戦場

 世界各国で重要選挙が相次いだ一年。国論を二分した米大統領選挙の際、民主党大会に登壇したギフォーズ前下院議員の笑顔が忘れられない。

 昨年一月、アリゾナ州の市民集会で狙撃され、脳に重い損傷を負ったギフォーズ氏。驚異的な回復力で、数カ月後にはリハビリに励む溌剌(はつらつ)とした表情を公開、全米に希望を与えた。

 党大会では最終日、オバマ大統領の指名受諾演説の前に登壇。国への忠誠を誓う宣誓を一語一語確認するように暗唱し、満場の拍手と涙を誘った。

 米中枢同時テロの日に生まれた少女が犠牲になったことでも話題となったこの事件以降、今月のコネティカット州での小学校乱射事件まで、一体何件の悲劇が続いたことか。

 「唯一の効果的対策は、全ての学校の適切な武装だ。時間の浪費で、効果も不明な議会の銃規制論議などを待っていては、大切な子供の命は守れない」

 真顔でこう語った全米ライフル協会副会長の論法は、対テロ戦争で展開されたブッシュ前政権下の勧善懲悪、力の信仰一辺倒の論理に重なる。平時の論理と倫理が倒錯する戦時の論理そのものではないか。

 ギフォーズ氏の夫ケリー氏は事件後、ネットで銃規制に向けた「意味ある議論」の必要性を訴えている。「悲劇は終結せねばならない」。弔問で語ったオバマ大統領の言葉の行方を世界が見ている。(安藤 徹)

 

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