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【私説・論説室から】

新聞が標語に込めた決意

 米紙ワシントン・ポストが二月下旬から、創刊以来初めての公式標語を一面の題字下に掲載し始めた。「民主主義は暗闇の中で死ぬ(Democracy Dies in Darkness)」。民主主義を守るためには、新聞は暗闇を照らす灯であり続けなければならない。そうした決意の重さが、海を越えて伝わってくる。

 ウォーターゲート事件を取材し、ニクソン大統領を退陣に追い込んだ同紙のボブ・ウッドワード記者の言葉がヒントだそうだ。メディアを敵対視するトランプ米政権の誕生で、米社会に迫り来る暗闇の深さを予感させる。

 米紙ニューヨーク・タイムズは以前から一面の左上に「All the News That’s Fit to Print」を掲げる。印刷に値するすべてのニュース、を載せるという意味だ。掲載された記事はすべて読むに値するとのアピールでもある。

 本紙は一面題字下に「読者とともに」。読者の声に耳を傾け、読者に訴えかけ、読者とともに考える新聞でありたい、との誓いだ。

 標語ではないが、もう一つ大切にしている心構えがある。「言いたいこと」ではなく「言わねばならないこと」を記事にする。本社の大先輩記者、桐生悠々の言である。

 独善に陥り、自らの感情むき出しで書き殴っては、読者の共感は得られまい。読者に言わねばならないことを伝えているか。自問自答する謙虚さを持ち続けたい。(豊田洋一)

 

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