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【私説・論説室から】

「そだちとすだち」

 児童養護施設や里親などのもとで育った若者たちへのインタビューを連載するウェブサイト「そだちとすだち」は、一月に開設された。当事者たちの告白に胸が締め付けられる。運営するのは、千葉県の児童自立支援施設で社会科を教える川瀬信一教諭(29)だ。自身も里親家庭や養護施設などで育った。

 物心ついた頃から実家は、床も見えないほどのごみ屋敷だった。風呂にも入れず、ごみの上で寝ていた。母親から育児放棄に加え、殴られるなどの虐待を受けた。鍋のシチューを頭からかけられたこともあった。

 児童相談所に保護され、中学一年の夏から施設に入った。同級生から「学園の子」と言われるのがつらく、一時不登校にもなった。

 高校に入ると一転し、野球部、生徒会、ボランティアなどにのめり込み、無遅刻無欠席を通した。アルバイトで稼いだ貯金と奨学金などで千葉大・大学院に進み、教師になる。

 「学校の流れに乗っていけない子たちがいる。そういう子たちに自分だからこそできることはある」。二年前、自身が一年過ごした施設に赴任した。研究会などで自らの生い立ちを話す機会もあるが「職場でも講演など発信する場でも自分の経験だけでやれることの限界を感じた」。この思いがサイト立ち上げにつながった。「実の親と離れて生活する子どもが養育環境や進路について多様な選択ができる社会」の実現を目指す。(上坂修子)

 

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