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【私説・論説室から】

こんな人、ってどんな人?

 思ったほどの人出ではないな、というのが第一印象だった。一日午後の東京・秋葉原駅前。東京都議選の自民党候補を応援する安倍晋三首相(党総裁)の街頭演説だ。「安倍人気」の衰えは人の集まりからも明らかだった。

 当時の社会党が大幅に議席を伸ばし、土井たか子委員長が「山が動いた」と表現した一九八九年の参院選から、今回の都議選まで、これまで数々の街頭演説を、有権者として耳を傾け、また記者として取材してきた。

 政治潮流の変わり目となる選挙には、有権者のエネルギーのようなものを必ず感じる。変化への期待感や、逆に、怒りが噴き出す場合もある。失政や強権、政治腐敗に対して。

 党総裁に返り咲いて以降、四回の国政選挙に勝ち続ける首相にとって、今回の都議選ほど守勢に立たされた選挙はなかっただろう。

 国会で野党から厳しい質問を浴びせかけられることはあっても、街頭で、ましてや自民党に好意的と思われてきた秋葉原で、群衆から面と向かって「安倍辞めろ」と言われることは想定していなかったに違いない。街宣車上の首相から飛び出したのが「こんな人たちに、負けるわけにはいかない」である。

 こんな人たちって特別な人たち? いや、その背後には多くの民意があるとみるのが、これまでの選挙の教訓だろう。こんな人たちとは結局、普通の人。その人たちに刃(やいば)を向ける政治が、正しいはずはない。 (豊田洋一)

 

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