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【私説・論説室から】

駆け抜ける首都高

 鉄腕アトムやスーパージェッターで未来を夢見た戦後生まれの少年には、都心のビルを縫うように走る首都高速は未来都市のイメージそのものだった。

 明治末にできた石造りの日本橋や周辺に関心が集まる昨今は高度成長期の遺物、都市景観を壊す元凶のようにもいわれて残念な思いをしていたら、本紙「TOKYO発」に東京芸術大の大学院生のアート作品「首都(しゅと)っ娘(こ)」が紹介された。

 記事の見出しは「首都高はかわいい」。今の若い娘さんが首都高に魅力を感じている−。意外でうれしかった。

 映画「惑星ソラリス」(一九七二年)では未来都市の風景に使われた首都高。アップダウンや急カーブ、合流の連続で運転には難所も多いが超高層ビル、お濠(ほり)端、芝公園、レインボーブリッジ、お台場、海底トンネルを次々と駆け抜ける景観は、昼も夜も圧倒されるほど都会の活力に満ちあふれている。

 半世紀ぶりの大改修が始まる。日本橋に覆いかぶさる巨大な高架橋を地下にして往時の景色を甦(よみがえ)らせるのもいい。でも、ジェットコースターのように巨大都市を駆け抜ける首都高も都市遺産に十分ふさわしいのではないか。少年の夢にすぎなかった自動運転が実現すれば難所での心配もなくなる。昼も夜も安心して東京の絶景を楽しめる「首都っ娘」はきっとさらに魅力的になる。 (安田英昭)

 

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