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【私説・論説室から】

政治屋と政治家

 夜回りで何度か都内の自宅を訪れたことがある。破綻した日本長期信用銀行の処理を主導した金融再生委員長時代だったと思う。一つ一つの質問に、こちらが恐縮するくらい丁寧に誠実に答えてくれたことを思い出す。

 谷垣禎一さんが次期衆院選に出馬せず引退するという報に触れ、残念な気持ちでいっぱいだ。昨夏、趣味のサイクリング中に転倒、大けがをした。総選挙は来年と予想してリハビリに努めていたが、突然の解散−来月総選挙となり、やむなく再起を断念した、と周囲は説明した。本人の胸中は察するに余りある。

 歴代の自民党総裁経験者の中でただ一人、首相や衆院議長など三権の長に就くことがなかった。だが財政、金融、法務など政策面と人柄から数少ない真のステーツマンだった。

 ステーツマンとは国民の畏敬の念を集める政治家を指し、私利や党利を追求するポリティシャン(政治屋)と明確に区別される。

 では、このご仁らはどちらか。

 首相のお友達に便宜が図られたかが疑われる問題の追及から逃げるかのように臨時国会の召集を拒み、ようやく開くかと思えば審議なしに解散へ。自分たちに有利となるタイミングばかりを考え、憲法の定めだろうが、権力側として守るべき節度や作法や矜持(きょうじ)だろうがお構いなし。選挙に勝つためなら何でもありという人たちだ。政治屋か政治家か。選ぶ側の目こそ問われるだろう。(久原穏)

 

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