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【私説・論説室から】

米軍が北進しない訳は

 米中両大国が朝鮮半島有事での対応策を協議していることを、ティラーソン米国務長官が認めた。昨年末、ワシントンで行った講演でのことだ。ティラーソン氏によると、米軍が万一、休戦ラインの北緯三八度線を越えて北朝鮮に侵攻した場合は、状況が整い次第韓国へ撤退すると中国に確約した、という。

 核拡散防止のために、北朝鮮の核兵器が「持っては困る者の手に渡らないよう確保する手だて」も話し合ったという。

 発生が予想される難民対策も議題になったそうで、ティラーソン氏は「中国はうまく対応するだろう」と述べた。こんな微妙なことをわざわざ明かしたのは、北朝鮮への心理的な圧力にほかならない。

 ティラーソン氏はかねて、米軍は三八度線を越えるつもりはないと公言していた。その発言が中国向けのメッセージだったことがはっきりした。北進するつもりがないのは、中国との軍事衝突を懸念するからだという。

 だが、深読みすれば北朝鮮問題で中国に汗をかいてもらうためのニンジンとも受け取れる。有事のあとのことには米国は関与せず、中国にお任せする−と。

 半島有事に備えて米中が危機管理策で腹合わせをしておくことは必要だろう。半面、大国同士が第三国の運命にかかわる事柄をこっそり談合しているところに、国際政治の非情さを思い知らされる。 (青木 睦)

 

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