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【私説・論説室から】

「未曽有の危機」なのは

 少子高齢化を「未曽有の危機」と政府文書が明記した。高齢化がピークを迎える二〇四〇年ごろの自治体の課題を検討している総務省の有識者会議の中間報告のことである。

 人口が減り、働き手も減るので経済や教育、行政サービスを支えられなくなる。都市部に若者を流出させてしまう地方にとってはことさら深刻な問題だ。

 文書への明記は当然だが、「遅すぎる」とも思う。この問題は今分かったわけではないからだ。最初に気付くチャンスは出生率が丙午(ひのえうま)の一九六六年を下回った八九年だ。その率を取り「一・五七ショック」と呼ばれる。だが、政府は本気で危機感を持ったようにみえない。現実に今も出生率は低いままだ。

 女性人口が減り出生数も減っている。人口を維持できるとされる出生率に回復しても人口減は止まりそうにない。

 安倍政権は人口減社会に向け「一億総活躍社会」の実現を目指すと言う。働き方改革もその一環だ。女性らが働きやすい環境の整備も重要な柱に掲げているはずである。

 しかし、二年前。「保育園落ちた」と待機児童問題を訴えた匿名ブログの声を政権は無視しようとした。そして今回の財務省のセクハラ問題である。言っていることとやっていることが逆だろう。

 「未曽有の危機」にあるのは政権そのものも、ではないか。 (鈴木 穣)

 

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