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【私説・論説室から】

小泉元首相取材余話

 十三日付朝刊掲載の小泉純一郎元首相のインタビュー。私自身、インタビュー形式での小泉氏への取材は「郵政解散」の二〇〇五年以来だったが、歯切れの良さは当時と変わらず、なぜ原発ゼロが必要なのか、判断材料の一つを、読者の皆さんに提供できたと思う。

 ところで紙幅の関係で紹介しきれなかったことがある。東日本大震災後の「トモダチ作戦」中、原発事故で被ばくしたとする米空母「ロナルド・レーガン」の乗組員のことだ。

 乗組員の一部が、原発事故の影響が正確に伝えられずに被ばくし、健康被害を受けたとして東京電力などに損害賠償を求め、米国内で提訴した。乗組員には急性白血病や骨肉腫による死者も出ているという。にもかかわらず、日本政府は手を差し伸べようとしない。

 小泉氏は、こうした経緯に触れながら、自ら訪米して乗組員から直接話を聞き、支援のための寄付金集めに奔走したことや、想定以上のお金が集まったことを紹介した。

 「(米軍が)帰るときには感謝していたのに、事情を知って何もしないのはいけない。治療に役立ててほしいと思って始めた」

 小泉氏はこう語ったが、本来なら政府が率先して取り組むべき問題だ。日米同盟は最重要といいながら、被ばく被害者に関わろうとしないのは、今もなお安全神話の崩壊を認めたくないからだろうか。だとしたら、原発依存構造の根は、限りなく深い。(豊田洋一)

 

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