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【私説・論説室から】

ピースボートで考えた

 黄金週間を利用して初めてピースボートに乗船した。寄港先で国際交流を図る文字通り「平和の船」である。中国の青島へ向かう予定だったが、エンジンの不調で艦船整備ができる韓国の釜山へ入港した。

 その日は板門店で南北首脳会談があり、両首脳は初めて同時に南北の分断線を越えた。「私はいつ軍事境界線を越えられますか」と話し、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長に手を引かれて国境を越えた韓国の文在寅大統領。心憎い演出に熟達した政治手腕を見た。

 文氏は市民活動を経て政界入りしたリベラル派。昨年五月、大統領に就任後、公共部門の非正規雇用ゼロの時代を打ち出し、大企業中心の政治からの脱皮を宣言した。一九四八年の建国以来、民主化運動が国家により弾圧された事件についての調査も命じた。

 次に寄港した港町、麗水は海を隔てた済州島に続いて住民への弾圧事件が起きた地域である。今年三月には弾圧事件の全容解明を進める条例が制定されたばかり。ガイドの韓国人女性は「文氏が私の国の大統領であることを誇りに思います」と話した。

 思えば来月の米朝首脳会談をトランプ米大統領に取り持ったのは韓国特使団だった。開催の決定を記者会見で発表したのは米国務省ではなくその特使団。かの国の政治と外交を見るにつけ、日本の「周回遅れ」を強く感じる旅となった。 (半田滋)

 

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