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【私説・論説室から】

木造復元はやめてちょ

 こうなったら、ドローンでつり上げてはどうか。消防はしご車で持ち上げる方が現実的では。ボランティアがおんぶすれば…。車いす利用者を蔑(さげす)むような戯れ言が聞こえてくるが、ことは人権にかかわる重大問題である。

 四年後の木造復元をめざす名古屋城の新しい天守閣に、エレベーターをつけない方針を打ち出した名古屋市。河村たかし市長の「史実に忠実な復元」へのこだわりが、市民の分断をあおり、亀裂を深めている。

 昔ながらの築城技術を伝承でき、将来の世界遺産候補になると喜ぶ賛成派。対して、バリアフリーの造りにしないのは、障害のある人たちを切り捨てる差別と憤る反対派。

 もっとも、河村市長も、体の不自由な人たちを排除するつもりはないらしい。内外の英知を集め、エレベーターに代わる新技術の開発に努力する構えは見せている。ただ、その姿形さえはっきりしないから落ち着かない。

 共生社会の基本は平等である。三つの選択肢があると思う。(1)木造復元+エレベーターの設置(2)木造復元+内部の観覧不可(3)現在の鉄骨鉄筋コンクリートのまま耐震改修。

 元の天守閣は戦時中、米軍の空襲で焼失した。二度と焼け落ちないようにとの市民の願いを込め、一九五九年にコンクリート造りで再建し、エレベーターをつけたのが今の天守閣である。税金の使い方も併せて、“平和の城”にふさわしいのは(3)だろう。 (大西隆)

 

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