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【私説・論説室から】

情報戦を挑んだものの…

 正規軍以外に民兵や雇い兵を動員し、サイバー攻撃、SNS(会員制交流サイト)を使った情報操作などあらゆる手段を駆使する戦争は「ハイブリッド戦争」と呼ばれる。北大西洋条約機構(NATO)はロシアのクリミア併合とウクライナ東部への介入をハイブリッド戦争の典型例と見なす。

 一方のロシアは、二〇一四年にウクライナの親ロシア派政権が倒されクリミア併合の引き金になった政変をはじめ、旧ソ連圏で起きた市民の抗議行動の背後に欧米の影を見る。民主化運動を装って体制転換を狙う西側の陰謀という見立てだ。

 ウクライナは今も欧米とロシアが暗闘を繰り広げる舞台。そこで最近起きたのが、ウクライナ当局による記者暗殺を偽装したおとり捜査だ。ロシア特務機関の陰謀で暗殺されたはずの記者が、治安当局の記者会見場にひょっこり姿を現した。容疑者を逮捕したと捜査成功を誇るウクライナに対し、ロシア外務省は「本物の事件捜査の代わりに、偽装殺人を演じるぐらいしか能がない」とあざ笑う。

 捜査に協力した記者はジャーナリズムの信頼を損ねたと厳しい批判を浴びている。

 ロシアに果敢な情報戦を挑んだものの、ウクライナが負った傷は深い。ただし、首都キエフではプーチン・ロシア政権に批判的なジャーナリストや要人の暗殺が相次いでいるのも事実である。 (青木 睦)

 

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