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【私説・論説室から】

ラヒホイタヤが寄り添う

 北欧フィンランドでテーリカンガス里佳さんと出会った。ラヒホイタヤとして活動する。フィンランド語で「そばでケアする人」といった意味だ。

 介護や医療、保育など保健医療分野をまたぐ独自の資格制度で、複数分野をこなせるので人材の柔軟な活用ができるといわれる。

 里佳さんは日本の看護師と介護士の両方の役割を担う立場で高齢者の在宅介護に取り組んでいる。医師や看護師もいるが、在宅介護の主力は里佳さんである。

 訪問先の高齢夫婦の自宅に同行した。血糖値を測り、薬を飲ませる。必要なら注射もできるし洗濯や食事の準備もする。

 「服薬の作業は二分もあれば終わりますが、私は十分かけます」。時間のほとんどを会話に使う。介護は作業ではない。それが「ケアの肝」のようだ。

 みとりも引き受ける。「亡くなった時、本人が一番好きな服装に着替えさせることもします」。丁寧な触れ合いゆえに可能となる。

 利用者の体調や病歴を把握していて訪問ごとに状況をスマホにデータ入力する。それを訪問介護を統括するセンターで共有して緊急時にだれでも対応できるようにしている。

 在宅ケアは医療と介護の両方が必要だが、日本では双方の職務は分かれていて、その連携が課題だ。利用者にほほ笑む里佳さんのまなざしがひとつの答えに見える。 (鈴木 穣)

 

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