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【私説・論説室から】

コロンビアの書店で

 旅行会社に勤める常盤未央子さんは、コロンビアに出張中、書店で背表紙に「ヤクザ」という言葉が入った本を見つけた。日本で売春やストリップなどを強いられたコロンビア人のマルセーラ・ロアイサさんの手記「ATRAPADA POR LA MAFIA YAKUZA(ヤクザにとらわれた女)」だった。

 シングルマザーで、貧困から脱出しようと一九九九年に来日したマルセーラさんは、知らぬ間にブローカーから借金五百万円を背負わされていた。働いても多くは返済名目でピンハネされる。路上で客引きをしていた池袋や横浜は、過酷な暴力と搾取の現場として本に登場する。「他の人にも伝えなければ」と常盤さんは仲間と一緒に翻訳し、三年前に「サバイバー」という題名で日本での出版にこぎつけた。

 当時、マルセーラさんのような被害に遭うコロンビアの女性は大勢いて、私も大使館などを取材したことがある。ソニー製のビデオで女性たちの裸を撮影して、ストリップ劇場などにあっせんしていた日本人の男は、女性たちから「ソニー」と呼ばれていた。

 今春から外国人労働者の受け入れが拡大される。私たちがふだん親しんでいる街や企業の名前が、働く人たちの胸に残念な形で刻まれるような事態は繰り返したくない。 (早川由紀美)

 

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