東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 文化 > ニュース一覧 > 記事

ここから本文

【ニュース】

新国立競技場 収支計画黒字ありき ドル箱コンサート12日は過剰

写真

 東京五輪のメーンスタジアムとなる東京・明治神宮外苑の新国立競技場をめぐり、都が二〇一六年五輪を招致した際に準備担当だった鈴木知幸・順天堂大客員教授(スポーツ行政論)が本紙の取材に応じ、五輪後の収支の見通しが甘すぎると批判した。事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)が最大三千億円から千六百九十二億円に圧縮した総工費についても、「公共施設の建設費は必ず増加するものだがそうした説明がない」と指摘。試算を「競技場を造るためのつじつま合わせだ」と述べた。 (森本智之)

 都の五輪準備担当課長を務め、味の素スタジアム(味スタ、調布市)建設にも携わった鈴木氏が最も問題視するのが、コンサートなどを年十二日行う点だ。

 JSCの収支見通しは、こうしたイベントを収益の柱とし、ほかにサッカー二十日、ラグビー五日、陸上十一日の利用を見込む。管理費などを差し引き年四億円の黒字になる試算だ。

 コンサートは「一度やると数千万円の収入になる」(スタジアム関係者)が、鈴木氏は「確かにドル箱だが、芝への影響が大きく、十二日も行えば肝心のスポーツで使えなくなる」と実現性に疑問を呈する。

 芝への悪影響を避けるため多くの施設はコンサートを年数回に限定。一二年度実績で味スタは三日、埼玉スタジアム(さいたま市)はゼロだった。

 味スタでは〇八年、Jリーグ公式戦直前に十万人規模のコンサートを受け入れたため、FC東京が猛抗議。味スタが数千万円かけ、芝を全面張り替えして収拾した。

 スポーツの利用も「八万のスタンドを満員にできる試合がどれだけあるか。世界陸上でも難しい」と、見通しの甘さを指摘する。

 実際、大規模な公共スポーツ施設で黒字運営の例はほとんどない。埼玉スタジアムや日産スタジアム(横浜市)でも一二年度にそれぞれ二億五千二百万円、四億三千六百万円の指定管理料を自治体から負担してもらって収支を保っている。

 加えて、鈴木氏は「鋼材や人件費の高騰、施工法の変更などで必ず追加経費がかかる」と解説。「実施設計も終わってないのに『これくらいでできる』なんて言えない」と話す。

 既に東日本大震災の復興事業に伴う需要の増加などで建設費が高騰。都の担当者も、二〇年五輪で都が整備する施設の建設費が高くなる見通しだと認める。

 鈴木氏は「試算は肝心のスポーツ利用の視点を欠いている」とみる。コストがかかる開閉式屋根に国側がこだわるのは、屋根が騒音を防ぎ、コンサートを数多く開けるからだ。だが、コンサートは芝を傷つけ、屋根は日光や換気を遮り芝の生育を阻む。鈴木氏は「まやかしの試算ではなく、国民にきちんと説明して理解を得るべきだ」と言う。

◆収支は実現可能

 日本スポーツ振興センター新国立競技場設置本部の高崎義孝・運営調整課長の話 収支見通しは現段階での試算に基づくもので、実現可能だと考えている。(コンサートの開催は)国立競技場のさよならコンサートとして三月から三週連続で計六日間実施したが、芝に問題は起きていない。十二日間できると思う。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo